長かった夏が終わり、10月後半から一気に気温が下がって山の紅葉もだいぶ本格化してきました。色づきの標高ラインはだいぶ下がってきて、2,000mを切ったようです。

10月末時点では、一部の木々が色づき始めている程度の紅葉具合でした

 そこで、今週あたりに紅葉がちょうど見頃を迎えそうな1,000m代後半の山の中から、首都圏からのアクセスが良く、ビギナーでも手軽に歩けて、紅葉も絶景も楽しめる。しかも有名過ぎない、という贅沢な山を一座、紹介します。

■周囲の百名山に隠れがちな名峰

右上に見えるなだらかなピークが小楢山。一見、地味な山ですが……

 紹介したいのは、山梨県にある標高1,713mの小楢山(こならやま)です。奥秩父山塊の南部にあり、牧丘町や山梨市の市街地から見上げると一番手前に位置するという立地的な理由から、山頂から抜群の展望が魅力の山です。

 また、世界遺産を含む、数々の素晴らしい禅庭を手がけた禅僧・夢窓疎石(むそうそせき)が修行を積んだ山としても知られています。その影響か、山中にはコナラをはじめとする広葉樹とカラマツなどの針葉樹がバランス良く混じり合い、巨岩、奇岩が点在していたり、突然展望の開けるポイントがあったりと、天然の庭園のような美しさと驚きを内包しています。

幕岩の上からは、ぐるりと八ヶ岳や南アルプス、奥秩父の大パノラマが見渡せます

 金峰山、瑞牆山、甲武信岳など、周辺の百名山に隠れがちな存在ですが、短いルートに山登りの楽しみがギュッと詰まった隠れた名峰と言えるでしょう。とくに、山が色づき始める今の時期は、一年の中でももっとも歩いてみていただきたい季節です。