今年は秋になっても暖かい日が続いた影響で、例年よりも1週間から10日ほど、紅葉で色づくのが遅い山が多いようです。しかし、10月も後半に入って一気に気温が落ち、紅葉も本格化。色づきの標高ラインはだいぶ下がってきました。

 今回紹介する新潟県南魚沼市の名峰・八海山は、ちょうど今週見頃を迎える山の1つ。先週の段階で、どの程度紅葉が進んでいたかをレポートしましょう。

■ギザギザの岩峰が続く稜線には8つの峰がある

稜線上にある8つの峰が名前の由来

 八海山の標高は1,778m。ギザギザの岩峰が続く稜線には8つの峰があることから、「八ツ峰」とも呼ばれます。八海山とは1つのピークを指す名称ではなく、この峰々の総称。“八ヶ岳”という名前の山がないのと同じイメージです。

 古くは行者の修行や信仰のために開山された山で、越後駒ヶ岳、中岳とともに「越後三山」としても知られています。

麓の集落から見上げてみても、険しい稜線歩きが待っていることが想像できる

 登山適期は雪解け後の5、6月から11月の前半まで。標高があまり高くないため、夏よりも涼しくて歩きやすい紅葉の時期こそ、八海山のハイシーズンです。冬は新潟の海側らしい重たく、深い雪に長いあいだ閉ざされる山です。

■ロープウェーで一気に稜線上へ

肩にあるのが千本檜小屋。ここまででも十分に紅葉ハイキングが楽しめるでしょう

 稜線まで六日町八海山スキー場のロープウェーを使えることは、八海山がハイカーに人気の理由の1つとなっています。標高376mの山麓駅から、1,147mの山頂駅まで一気に800m近く標高を稼げてしまうのです。

8つの峰を越えた先にある入道岳が八海山の最高峰

 その先は、登山者がレベルに合わせていくつかのコースどりを選べるのも、八海山の面白いところでしょう。

 まず、初級者は山頂駅から近くの展望台に登り、ゲレンデ脇の森を下ってくる約2時間のルートか、稜線を歩き、6合目にある女人堂まで往復するルート(約2時間半)がおすすめです。

ハードな八ツ峰ルートは、ハイキングというより、岩登りというのが相応しい

 中級者はさらに先を目指してみましょう。急な登りを越え、迫力のある岩峰群を目の前に眺められる千本檜小屋までの往復ルート(約4時間)を選んでみてはどうでしょうか。

 そして、体力と技術に自信のある上級者は、八海山の象徴である8つの峰を通過し、最高峰の入道岳を目指す往復6時間ほどのルートをとることもできます。