■指宿特産の「かつお節工場」を見学!
日本ならではの出汁文化に欠かせないかつお節。そのかつお節の主要生産地のひとつが指宿市だ。「指宿鰹節」という銘柄が特産品で、なかでも最高級品の本枯れ節は全国シェア8割の生産量を誇る。錦江湾に面した山川港の周辺にかつお節工場が点在し、製造過程を見学したり、「茶節」という鹿児島県の郷土料理を味わったりできる。
見学の際はまず山川水産加工業組合に集合し、そこから工場に移動する。かつお節の原料となる本がつおは冷凍された状態で水揚げされるので、前の晩から解凍しておくのだという。硬い頭の部分は機械でおとすが、あとは手作業で3枚におろし、内臓や骨を取り除いていく。
そして、煮熟というおろした身を煮る工程を経たあと、特注のピンセットを使い手作業で骨を丁寧に抜いていく。ちょうど、見学に訪れたときが骨を抜いているタイミングで、よどみなくスイスイと骨を抜いていく手さばきにさっそく見入ってしまった。さらに、骨抜きしたときできた亀裂やすき間は、ヘラを使ってすり身で埋めて形を整えていくのだとか。
その後、燻す工程を経たものが「荒節」というもので、ここまでできあがるのに1か月かかるという。この状態でも削って出汁として使用することもできるが、表面を削って形を整えたのが「裸節」というもの。これに麹菌のカビを付け、湿度の高い場所での保管と、天日干しを3、4回繰り返すことで、カチコチの硬い「本枯れ節」ができあがる。
かつお節はいくつもの工程を経てできあがるが、本枯れ節はとくに手間暇がかかりできあがるまで半年ほどかかるという。かつお節全体の4~5%ほどしか生産されない最高級品の本枯れ節は、全国各所の老舗料亭などに納品されていく。
見学のあと、工場近くの店舗に移動すると、味噌とかつお節を混ぜた「茶節」をいただいた。シンプルで簡単に作れるのに出汁の旨味があってかつお節のおいしさを改めて実感。さらに商品の販売コーナーがあるので、まるごとや削ったかつお節、出汁パックなどショッピングも楽しめる。
体験時間の所要時間は1時間~1時間30分ほど。この見学体験も事前予約が必要だ。山川港はJR指宿枕崎線・山川駅から徒歩約35分と距離があるので、指宿駅からバスで山川桟橋に行き、そこから徒歩がおすすめだ。車の場合は山川漁港の駐車場が利用できる。