鹿児島市から南に約130km、太平洋と東シナ海に面した世界自然遺産の島「屋久島」。樹齢数千年の「屋久杉」を思い浮かべる人も多いだろう。
今回は、屋久島の「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)」「縄文杉」へ訪れる1泊2日のガイドツアーに参加した。稀少な野生動物との遭遇、人気アニメ映画のモデルになったといわれる森、昼間とは違う縄文杉の姿など、数々の貴重な体験を紹介する。
■屋久島へのアクセスと基本情報

屋久島へのアクセスは飛行機の場合、鹿児島空港から屋久島空港まで約40分。船では鹿児島本港南埠頭から屋久島の宮之浦港まで高速船でおよそ1時間50分から3時間、フェリーで4時間ほどだ。
屋久島は、島の標高差が大きいため、海岸部から山岳部にかけて亜熱帯から亜寒帯までの植生が垂直に分布し、屋久杉の原生林を有する。その自然環境と生態系が評価され、1993年に白神山地と共に日本初の世界自然遺産に登録された。
屋久杉は、屋久島の標高500m以上の山地に自生する推定樹齢1,000年以上のスギ。なかでも標高約1,300mの深い森にたたずむ縄文杉は、現在確認されている屋久杉のなかで最も大きく、最長寿と言われている。
■白谷雲水峡と縄文杉をめぐる1泊2日のガイドツアーに参加してみた
●縄文杉へのトレッキングについて
縄文杉へのトレッキングは、梅雨の時期を除く春から秋にかけてがベストシーズン。雨が多い6月や雪の降る12月から2月は避けるのがおすすめだ。
筆者は、縄文杉の森で一晩過ごせる点、朝焼けに染まる縄文杉を見るチャンスがある点に魅力を感じ、白谷雲水峡・縄文杉をめぐる1泊2日のガイドツアーに参加することにした。
●苔むす森が幻想的な、白谷雲水峡

標高約600mの白谷広場から白谷雲水峡の「太鼓岩」を目指してトレッキングスタート。道中は、沢を眺めながら進む場所が多く、せせらぎの音が心地よい。また、巨大な屋久杉が複数点在しており、一代目の切り株の上に新しいスギが生えた「二代大杉」や、大きな根が三本足のように枝分かれした「三本足杉」、白谷雲水峡のなかで最大と言われどっしりとたたずむ「奉行杉」など、それぞれ個性的な姿で見応えがあった。

しばらく経った頃、この日のために新調した登山靴が履き慣れていないためか、アキレス腱の少し上あたりが靴擦れしてしまった。ガイドが絆創膏型の靴擦れ防止パッドをくれたおかげで、足の痛みを気にせず山歩きを続けることができた。
出発から順調に歩き進め、2時間ほどで「苔むす森」に着いた。アニメ映画『もののけ姫』に登場する森のモデルといわれ、美しい苔やシダで覆われた幻想的な風景が広がっていた。

さらに1時間ほど歩くと、太鼓岩に到着。太鼓岩からは、九州最高峰の「宮之浦岳(みやのうらだけ)」をはじめ、屋久島の山々を見渡せ、登山の達成感を味わうことができる。
●白谷雲水峡
住所 〒891-4200 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦