両神山(りょうがみさん・標高1,723m)は、埼玉県秩父郡小鹿野町(おがのまち)と秩父市の境目に位置する、奥秩父山塊の代表的な山だ。日本百名山に数えられ、鋭く尖った山容と歴史ある信仰の対象として知られる。山名の由来には諸説あるが、イザナギ・イザナミの二神を祀る「両神」に由来する説が有力とされている。
登山道は、主に日向大谷口(ひなたおおやぐち)からのルートが利用され、険しい岩場や鎖場を含み、スリリングでありながらも整備が行き届いており、多くの登山者に人気がある。清滝小屋や両神神社などのスポットを経て山頂に至るルートは変化に富み、登山の楽しみを存分に味わえる。山頂からは秩父連山をはじめ、遠くに八ヶ岳や浅間山を望むことができるのも魅力だ。
●両神山登山口「日向大谷」へのアクセス
マイカーでアクセスする場合は、関越自動車道・花園(はなぞの)ICを降り、国道140号線を経由して約90分で日向大谷登山口に至る。登山者向けの駐車場は両神山荘が管理しており、場所によって1日あたり500円から1,000円で駐車することが可能だ。施設内にトイレや登山届ポストも整備されているため、出発前の準備にも適している。
一方、公共交通機関を利用する場合は、秩父鉄道「三峰口(みつみねぐち)駅」、または西武秩父線「西武秩父駅」から小鹿野町営バスに乗車し、「日向大谷口」停留所で下車する。ただし、バスの運行本数は限られており、事前のダイヤ確認は入念に行う必要がある。
●標準コースタイム
【日向大谷から両神山往復コース】所要時間
日向大谷(0:00) → 渓流分岐(0:40) → 清滝小屋 (2:35) → 両神山頂 (4:00)
→ 清滝小屋 (5:20)→日向大谷(7:00)
歩行距離:約10.3km
累積標高差:登り 1,500m、下り 1,500m
合計所要時間:7時間00分
■奥秩父の日本百名山「両神山」の頂を目指す
●両神山荘から出発して、ベンチのある分岐点まで
山頂へと至る道は、両神山荘前から始まる。登山届を提出し、整備された登山道を歩き始めると、すぐに杉林が広がる静かな山道に入る。10月半ばの頃は鮮やかな紅葉が出迎えてくれることだろう。道は緩やかな上り坂が続き、森林浴を楽しみながらのスタートとなる。
40分ほど歩くと、ベンチのある休憩ポイントに到着。ここで軽く水分を補給し、装備や体調を確認するのがよい。この区間は登山全体のウォーミングアップとして適しており、無理なく体を慣らすことができる。季節によっては朝霧が差し込み、幻想的な雰囲気に包まれることもある。足元を確認しながらゆっくりと歩を進めよう。
●分岐ポイントから清滝小屋へ
分岐点のベンチを出発し、緩やかに高度を上げていくと、道は徐々に沢沿いとなり清らかな水音が響きはじめる。小川を渡る場所には丸太橋が架けられている。滑らないよう注意しながら進もう。やがて「清滝小屋」に到着する。
ここはかつて宿泊も可能だったが、現在は無人となっており、主に休憩場所として利用されている。ベンチとテーブルがあり、簡単な食事や行動食を取るのに適しているが、出たゴミは必ず持ち帰ろう。
周囲は苔むした岩やシダに囲まれ、ひとときの静寂を味わえる。