■北アルプスの玄関口!  日本百名山・焼岳へ

立入りが制限されている焼岳の南峰を望む

●新中の湯登山口から中の湯新道分岐点へ

 早朝、日が昇り明るくなった新中の湯登山口駐車場を出発。空気は澄み渡り、秋山らしい冷え込みが肌を引き締めてくれる。

 樹林帯へと続く新中の湯登山口、序盤は穏やかな傾斜が続き、カラマツの黄金色やミズナラの紅葉が頭上を覆い、落ち葉が道を埋め尽している。サクサクと小気味いい音を立てながら進んでいく。時折、木々の間から穂高連峰の稜線がのぞき、先の景観への期待が膨らむ。

 緩やかな道から徐々に登りが増してくる頃、周囲の紅葉が鮮やかさを増す。約1時間で展望地でもある中の湯新道分岐に到着。ここが本ルートの中継ポイントである。眼下には鮮やかな紅葉に包まれた谷、正面には穂高連峰が見える。澄んだ青空に浮かぶ山々を前に、小休止をとりながら水分を補給する。この先は急登が待つため、景色を楽しみつつ呼吸を整える大切な時間だ。

展望地では、色づく紅葉とともに穂高連峰が望める

●中の湯新道分岐を経て、いよいよ焼岳山頂へ

 展望地を後にすると、登山道は一気に斜度が増す。大きな岩や木の根が行く手を阻み、足場を選びながら慎重に進む。森林限界を超えると視界が開け、焼岳の荒々しい山肌が一面に広がる。遠くに白い噴煙が上がり、硫黄の匂いが風に混じる。秋の高山らしく冷たい風を身体に受ける。

 やがて山頂直下の岩場に差しかかり、手を使いながら最後の急登を越えると、北峰山頂に到着する。足元は細かい石や砂が混じった滑りやすい道なので注意しよう。目の前には穂高連峰が連なり、眼下には上高地を流れる梓川(あずさがわ)が見える。紅葉に染まった山肌と秋空のコントラストは、言葉を失ってしまうほどの美しさだ。

広々とした焼岳山頂に凛々しく立つ山頂標柱

●絶景を堪能したら、下山開始!

 山頂での絶景を存分に味わった後は下山開始だ。下り始めは火山礫(れき)と細かい砂が混じった急斜面が続くので、滑らぬよう慎重に歩を進める。視線の先に樹林帯が近づくにつれ、赤や黄、橙のグラデーションが谷まで連なり、思わず立ち止まりシャッターを切りたくなる。

 中継ポイントでは再び穂高連峰を眺め、小休止。林道では落ち葉が足元を彩り、森の香りと静けさに包まれる。ほどなくして中の湯登山口を抜けて駐車場に到着。

 登りも下りも景観が豊かで、秋の焼岳は北アルプス日帰り登山の魅力を凝縮した山行となった。なお、行動中は体が温まるが、登山開始直後や山頂での休憩中などは、暖をとるためのウェアがあるとよい。風よけとなるウィンドシェルに加えて、保温性の高いフリース素材などの中間着が1枚あると安心だ。

焼岳山頂から望む穂高連峰と上高地を流れる梓川

●【MAP】焼岳

●【MAP】新中の湯登山口

●【MAP】中の湯新道分岐