下界ではまだ少し暑さを感じる日もあるが、2,000mを超える山々には秋が訪れている。北アルプスと言えば急峻な山が多く、経験の必要な山もあるが、今回は比較的挑戦しやすい唐松岳(からまつだけ・標高2,696m)を紹介したい。山頂までは体力を要するタフな道のりだが、危険箇所は少なく、リフトも利用できるためチャレンジしやすい山だ。

■白馬村・八方尾根スキー場からスタートする「唐松岳」への道

 中央自動車道・安曇野ICから車で約1時間30分で、八方尾根スキー場の中腹に位置する黒菱駐車場に到着する。ここは唐松岳へと続く登山道の入り口になっている場所で、標高は約1,500m。筆者が訪れたのは10月の初旬だったが、訪れた日の朝は登山口付近で氷点下まで冷え込み、温度差に驚かされた。しっかりと防寒着を着込んでからリフト乗り場へと向かう。

 黒菱駐車場からは唐松岳に向かう途中の八方池山荘までリフトが延びており、一気に標高を上げることが可能だ。2025年の営業期間は7月1日から10月19日(日)までのため、営業期間中はリフト利用で約1時間ほど短縮することができる。料金は大人が往復で2,300円、片道1,250円だ。

黒菱駐車場からリフト利用で一気に標高を上げる

 リフトを2本乗り継ぎ降りた先には八方池山荘があり、標高は1,830m。すでに雲の上だった。ここから八方池までの登山道はしっかり整備されており、観光で訪れる人も多い区間だ。歩き始めて体が温まってくると秋の爽やかな風が心地よく感じられた。

八方池へと向かう木道。振り返ってみると雲海が広がっていた

■八方池からのリフレクションに感動!

 八方池は雪解け水や雨水が溜まってできた天然の池。この池からは息を飲むほどの絶景が望める。白馬三山、白馬岳(しろうまだけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬槍ヶ岳(はくばやりがたけ)。そして日本三大キレットの一つ、不帰ノ嶮(かえらずのけん)に唐松岳を望む絶景が八方池にリフレクションする光景は見事で、この景色を求めて訪れる人も少なくない。

八方池が映し出す白馬三山