焼岳(やけだけ)は、長野県松本市と岐阜県高山市の県境にそびえる標高2,455mの活火山。北アルプスの南側に位置し、日本百名山のひとつに数えられている。現在も山頂付近から白い噴煙を上げ続けており、その荒々しい火山地形と大パノラマが登山者を魅了してやまない。
今回の山行では、長野県側の新中の湯登山口から往復する定番ルートを選択。人気の上高地から焼岳へと登るコースもあるが、新中の湯登山口には、マイカーで直接アクセスできるメリットがある。さらに、5時間ほどで往復できるため、北アルプス入門の日帰り登山としても人気が高い。山頂の噴火口や、火口湖など見どころ豊富だが、特に山が色づく9月から10月にかけてが、最も賑いを見せる時期だ。
9月から10月にかけては、新中の湯登山口周辺のカラマツ林は黄金色に染まり、標高を上げるにつれてナナカマドやダケカンバが真紅や橙色に色づく。森林限界を超えると視界が一気に開け、足元には錦秋の斜面、正面には穂高連峰と槍ヶ岳の雄姿が広がる。
この時期は空気が澄み、山頂からは南アルプス、御嶽山(おんたけさん)、乗鞍岳(のりくらだけ)まで望むことができる。さらに活火山ならではの噴煙と硫黄の香りが加わり、他の北アルプスの山とは一味違う迫力を感じられるだろう。

■新中の湯登山口から焼岳への往復コース紹介

●新中の湯登山口駐車場へのアクセス
長野自動車道・松本ICから国道158号を経由し、安房峠(あぼうとうげ)方面へ約44km。所要時間はおよそ1時間だ。新中の湯登山口駐車場は15台前後のスペースがあり、登山口は目の前。紅葉シーズンは早朝に埋まってしまうこともあるので、早めの到着が望ましい。
公共交通機関でのアクセスは、松本駅から松本電鉄上高地線で新島々駅(しんしましまえき)、新島々駅からアルピコ交通バスで「中の湯温泉」バス停と乗り継ぎ1時間30分ほどだ。下車後、徒歩約10分で登山口に到着できる。バス本数は限られているため、事前に時刻表を確認しておくといいだろう。
●新中の湯登山口から日本百名山・焼岳までの往復コースタイム
【新中の湯登山口から焼岳往復コース】所要時間
新中の湯登山口 (0:00) → 中の湯新道分岐 (1:30) → 焼岳山頂 (2:50) → 中の湯新道分岐 (3:55) → 新中の湯登山口 (5:00)
歩行距離:約6.8km
累積標高差:登り 871m、下り871m
合計所要時間:5時間