中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ・標高2,956m)は、日本百名山の一座として知られ、長野県を代表する名峰である。登山者にとって大きな特徴のひとつとして、登山口である千畳敷(せんじょうじき)カール(2,612m)までロープウェイでアクセス可能であることがあげられる。たった7分の空中散歩で、アルプスの核心部に一気に飛び込めるとあって、初心者からベテランまで親しまれている。本記事では、日帰りや1泊2日でも楽しめる登山ルートの魅力と実用情報を、写真とともに詳しく紹介する。
■圧巻の千畳敷カールからスタート
登山の起点となる千畳敷カールは、氷河期に形成された地形であり、夏は高山植物の宝庫、秋は燃えるような紅葉、春は残雪が広がる季節ごとの表情が美しい場所。ロープウェイ終点の千畳敷駅を出ると、すぐ目の前には「八丁坂」が立ちはだかる。急勾配の八丁坂を越えて、最後の岩場を登ること約1時間ほどで、稜線の要所・乗越浄土(のっこしじょうど)へと至る。

■木曽駒ヶ岳山頂までのルートと所要時間
千畳敷駅から木曽駒ヶ岳山頂までは、標準コースタイムで約1時間40分。登山道は明瞭で、しっかり整備がされていて歩きやすい。標高が高いため、風や日差しに対する備えは十分にしよう。乗越浄土から先は、稜線に沿って歩きやすい道が続き、途中で中岳を越えればまもなく山頂に到着する。途中、南アルプス・御嶽山・乗鞍岳・北アルプスまでを見渡せるポイントが連続し、まさに雲上の展望台といえる。
主な行程は以下の通り。

■山頂で味わう空と地の境界
木曽駒ヶ岳の山頂は広々としており、記念撮影や昼食にも最適である。晴天時には、八ヶ岳・富士山・槍ヶ岳・穂高岳など、日本を代表する山々を一望することができる。日帰りも可能なルートではあるが、時間と体力に余裕をもって、山小屋に1泊して朝夕の絶景を狙うのもよい。
