鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)は日本百名山の一座に名を連ね、長野県と富山県にまたがり、南峰(標高2,889m)と北峰(標高2,842m)からなる双耳峰だ。山名に槍という文字を冠しているだけあり、南峰も北峰も鋭く天を指している。今回は鹿島槍ヶ岳・南峰へ、1泊2日で訪れるルートを紹介したい。
■柏原新道から爺ヶ岳を目指す! 歩きやすい登山道で秋を満喫
中央自動車道・安曇野ICより約50分、扇沢(おうぎさわ)駐車場へと到着する。ここは立山黒部アルペンルートが通っている場所でもあり、これから立山へと観光に行く人たちや、ハイカーで賑わう場所だ。扇沢から15分ほどで爺ヶ岳(じいがたけ)登山口がある。爺ヶ岳登山口にも駐車スペースはあるが、それほど広くないので注意しよう。
まずは種池(たねいけ)山荘を目指す。長い樹林帯歩きになり、体力を要する区間だが、登山道はしっかりと整備されており、階段になっている箇所も段差が低く、非常に歩きやすい。筆者が訪れた10月初旬は、ちょうど樹林帯エリアが秋色に染まる時期だったため、秋の訪れを感じながら稜線を目指せた。

約3時間45分ほどで稜線に建つ種池山荘に到着する。山荘では飲み物や軽食が食べられるほか、ベンチも設置されているため、休憩するのにぴったりな場所だ。種池山荘から鹿島槍ヶ岳までは眺望が素晴らしいが、少し長い区間になるため、しっかりと休息をとり、呼吸を整えてから出発しよう。

■翌日の目的地「鹿島槍」を望みながら、冷池山荘まで絶景稜線歩き

種池山荘を後にし、まず目指すは爺ヶ岳だ。稜線上は森林限界を超えているため、ハイマツが中心となるが、ところどころ黄色に色づき、これぞ秋というコントラストを楽しめる。
爺ヶ岳は三つのピークからなる山で北から北峰、中峰、南峰となっており、最高地点は中峰で標高は2,670m。いずれも眺望はよく、谷を挟んで剱岳や立山を望む。そして北にはこれから目指す鹿島槍ヶ岳がそびえる。雄大な眺望を楽しみながら本日の宿泊地、冷池(つめたいけ)山荘まで約1時間10分だ。道のりは実際に歩いた時間よりもずっと短く感じた。
