田舎暮らしを体験したことがない方の中には、田舎での生活に“閉鎖的で出る杭は打たれる”とか“頑固親父に叱られる”みたいなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、現実の田舎暮らしはイメージとは少し異なります。

 今回は、私自身が移住を通して体験した“田舎ならではの人間関係”についてお伝えします。

◼️移住の先輩が良いイメージを作ってくれているかも

美しい、夏の龍神村の朝

 ひと口に田舎と言っても、地域によって事情はさまざまです。特に移住者が多く集まる地域は、移住の先人たちが地元の方々と良い関係を築いてくれていることも多いです(その逆もあり得る)。そうした場所では、地元民から移住者=良い移住者と見られて歓迎されやすいのです。

 さらに、“新たな発見があるから移住者と一緒に事業を始めたい”という方もいますし、役場の方も移住者の対応に慣れていて親身になって相談に乗ってくれます。案外、皆さんがイメージされているような閉鎖的な雰囲気はありません。

 田舎では、全員が地域を支え合いながら生活することが大前提なのが、都会とは大きく異なることでしょう。そのため、住民同士の距離感は、都会よりも圧倒的に近いと思います。

◼️田舎は住民全員が地域を支え合いながら生活する

祭りの時期は、地域の方々と顔を合わす機会が自然と増えます

 地域のコミュニティには、生活を通して自然と加わることになります。都市部よりもそうした関係や繋がりが強い理由は、寄り合いや祭りで顔を合わす機会が多いからだと思います。

 「入会地」と呼ばれる、地域で共有して管理している自然環境があることも大きいです。例えば、田畑の水源や水みちをみんなで管理する仕事を指す“溝普請(みぞぶしん)”や、山里道を管理する“道普請(みちぶしん)”も、地域交流において大きな役割を果たしています。

祭りは地域の結びつきを強くします

 五穀豊穣を祝うための祭りも、地域住民が集まる良い機会となっています。祭りの準備段階から大人と子どもが一緒になって笛や太鼓を練習したりと、地域の結びつきを強くしています。

コミュニティ内での役割は自然と決まってきます

 継続して所属するコミュニティなので、生活がうまく回るように住民はそれぞれにざっくりした立ち位置(役割)が与えられるように感じます。長老、ムードメーカー、事務、若手代表、怒こり役、……みたいな立ち位置があります。少し会社と似ていますね。

 ちなみに、僕はまだまだ新入社員です! 新しいことをする人、外から観光客を連れてくる人という感じでしょうか。

 このように、大抵の田舎暮らしの人間関係は、自然環境的にも文化的にも「周りは関係ない」が成り立たちません。そのため、“周りとは関わらず、自分だけで田舎暮らしをしたい”と考えている方は、住む地域を選ぶ必要があると思います。

祭りを楽しむ中川家の皆さん