■ガスに覆われた稜線、垣間見えるバットレス

翌朝、日の出前から静かにスタンバイしていましたが、わずかに薄くなった霧の隙間から幻のように北岳、中白根山が伺える程度でした。

分岐から八本歯のコルへ。累々と積み重なった岩場を下り、梯子の具合を確認しながら慎重に高度を下げていきます。今日もガスのなかの行動ですが、ときおりわずかに青空が覗き、バットレスの巨大な壁が見え隠れしています。
わずかに残る雪渓を横断しますが、この辺りは踏み跡が何本も交錯しています。「二俣」から白根御池小屋へ。ここからは前日と同じルート、樹林帯を急勾配で下ります。下るにつれ暑さが厳しくなっていきます。汗を垂らしながら登ってくる登山者たち。先に道を譲る態勢に入るのですが、登りの方がちょっと足を止めて休みたいようで、昨日の自分を見ているようでやさしい気持ちになれます。明日は晴れるといいですね。

※草スベリでも滑落事故があり、山梨県警のヘリによる救助活動が行われていました。また、北岳山頂で足首を骨折して北岳山荘までどうにか辿り着き救助を待つ登山者の姿も。全体的に高低差の大きいルートです。登山道こそしっかりと整備されていますが、暑さによる疲労もありますし、わずかな気の緩みが大きな事故にもつながります。状況に応じてヘルメットの着用も身を守る術のひとつでしょう。