「キャンプブームが落ち着いた」と言われて久しいが、現場では何が起きているのか。筆者の肌感覚では、SNSで騒がれた“迷惑キャンパー”はすっかり減ったように感じる。とはいえ、本当にマナーは改善されているのだろうか。

 その答えを探るために向かったのは、静岡県函南町(かんなみちょう)にあるキャンプ場「negura campground(ネグラ キャンプグラウンド)」(以下、negura)。富士山に夕陽や夜景といった絶景が見られ、直火OK・フリーサイト中心というキャンパーにはたまらない好条件に加え、充実した設備。週末の予約はすぐに埋まってしまうほどの人気だ。しかし、そんなキャンプ場にも関わらず、驚くほど整った場内に、確かに変化の兆しを垣間見た。 

■本当にキャンプが好きな人たちが訪れ、来場者は増えている

直火ピットの焚火跡。もはやアートにさえ見えてくる
チェックアウト時間前の流しの様子。チェックイン前では?  と思えるほどきれいだ 

 「キャンプ場としてはブームが去った感はないですね。むしろ秋から来場者が増えてるくらいです」

 そう語るのは、オーナーの渡部竜矢さん。一方で、ギアメーカー、販売店で一時期起こっていた爆発的な売れ行きは、落ち着いたように感じていると話してくれた。そんな渡部さんの話を伺い、一時のブームは終わったが、“本当にキャンプを楽しむ層”が残った、そんな印象を筆者は受けた。

 事実、筆者が訪れた週末も大雨予報に反して、場内には多くの他県ナンバー車両とテントが張られていた。しかし、ごちゃごちゃした感じはなく、どこか落ち着いた空気が流れている。全面直火可能なサイトにはゴミひとつなく、設置された直火ピット内は真っ白な灰のみ。水回りやトイレも、3年目のキャンプ場とは思えないほどきれいだった。