■綿のように見える他の虫たち
綿のように見える虫は、実はアオバハゴロモ以外にもいる。というわけで、そのいくつかを紹介していこう。
まず、クワキジラミの幼虫。「カメムシ目キジラミ科」に属し、名前の通り「クワ」の木につく。少し離れた場所から見ると、樹木の葉にひも状の綿が付着しているように見える。しかし近付いてよく見てみると、腹部の先端に細長いロウ物質がついているのだ。
なお、アオバハゴロモではあまり樹木への被害は大きくないようだが、このクワキジラミはクワの害虫として知られている。

次は、ワタムシの仲間だ。「カメムシ目アブラムシ科」に属し、綿をまとって空をフワフワと舞う姿が雪のようであることから「雪虫」とも呼ばれる。なお、雪虫という言葉は総称であり、複数の種が含まれる。特に有名な種として、北海道や東北地方で10〜12月頃に大量発生することがある「トドノネオオワタムシ」がいる。

最後に、カイガラムシの仲間。カイガラムシには、ロウ物質を分泌してさまざまな不思議な姿になるものが多い。例えば「カメムシ目カタカイガラムシ科」に属するワタカイガラムシの仲間には、一見生き物にすら見えない不思議な姿のものが多数いる。ただし、カイガラムシのこの不思議な姿はメス特有のもので、オスはアブラムシのようなイメージの姿をしているというのも面白い。

■不思議な姿の虫たちを観察してみよう
ここまで紹介してきたように、自然下にある不思議なモノは“虫のしわざ”によるものであることが少なくない。植物の葉の上、葉の裏、木の幹など、それはさまざまな場所にある。
今まで見過ごしていたものにあらためて注目してみると、面白い発見があるかもしれないので、気になるものを見つけたら、ぜひ近付いて観察してみてほしい。