日本では平安時代から続いていると言われる花見の文化。花見の主役といえば桜だが、桜は”花が散った後”にも注目したい植物だ。

 なぜなら、花が散った後の桜にはある虫が集まり、その観察を楽しむことができるからだ。虫に少しだけ興味を持ったうえでこの情報を知っていると、毎年、桜をさらに長い期間楽しむことができるのだ。

 というわけで早速、桜の樹で出会える虫たちについて解説していこう。

■桜の花が散った後に集まる虫たちとは?

 桜の花が散った後の集まる虫というのは、「イモムシ(芋虫)」と「ケムシ(毛虫)」である。

 一般的に、イモムシやケムシが好きだという人は多くないかもしれない。しかし、じつは彼らはとても魅力的な虫たちだ。

 その魅力の1つが多様性だ。イモムシやケムシの姿をした虫たちの多くは、チョウやガの幼虫である(※ハチや甲虫の幼虫にもイモムシ姿のものもいる)が、チョウやガが含まれる「チョウ目」という分類グループには、日本だけでも5,000種ほどが知られている。そんな巨大なグループの幼虫たちの姿は、じつに多様なのだ。

 例えば、チョウ目の幼虫には、毛があるものもいれば毛がないものがいる。イモムシ、ケムシという言葉は分類で呼び分けられているわけではなく、ケムシ姿のチョウの幼虫もいれば、イモムシ姿のガの幼虫もいる。

イモムシ姿のガの幼虫

 他にも、脚の数(正確には「腹脚“ふくきゃく”」と呼ばれる脚のような器官の数)にもグループや種ごとに違いがある。脚の数の差によって”歩き方”にも違いが生まれるのだ。

 イモムシというと、もぞもぞと移動するイメージが強いかもしれない。しかし、「シャクガ科」というグループに属するガの幼虫は、他のイモムシよりも腹脚の数が少なく後方に2対しかない。そのため、指で尺を測るような歩き方をする。この動きこそが「尺取虫(シャクトリムシ)」の名前の由来となっている。

シャクトリムシは腹脚の数が少ない

 そのほかにも、天敵からの防衛手段や巣作りの仕方など、イモムシ・ケムシは種ごとに面白い特徴をたくさん持っている虫たちである。

 桜には、このような面白いイモムシたちがたくさん集まるのだ。