早春に先駆けて行動する生き物たちのことを、「春の訪れを告げる動植物」と呼ぶ。
代表的なものだと、春告鳥と呼ばれるウグイス、春告花と呼ばれるウメ、ロウバイなどがいる。
昆虫界にも、「春告虫」と言われているものがいる。ギフチョウやコツバメ、ミヤマセセリなどだ。しかし、現在はこの言葉が広く使われている印象はない。これらの虫は里山に生息するチョウたちだが、現代では身近に彼らが見られる環境が少なくなってしまったからかもしれない。
そこで今回は、今も身近な場所で見られることができる「春一番に見られる、キラキラの青い虫」を紹介しようと思う。
■「春一番に見られる青い虫」の正体は?
春の訪れを告げる青い虫とは、「コガタルリハムシ」のこと。コウチュウ目ハムシ科というグループに属する、体長5mm程度の小さな虫である。非常に小さい姿ながらも、青い光沢を放つボディが美しい。

コガタルリハムシの出現時期は、3月初旬〜6月くらいまで。春の暖かな雰囲気が感じられるようになる頃、他の虫たちよりも一足先に現れ、本格的な夏が来る前には姿を消してしまう。まさに、「春の虫」なのだ。
■春告虫を見つけるには、ココを探してみよう
コガタルリハムシを見つけるコツは、彼らの食草である「ギシギシ」という植物の葉の上を探すことだ。ギシギシは背丈が人の腰上くらいまで大きくなるタデ科の植物で、田んぼの畦や土手、荒地など、身近な場所でもよく見られる。

植物に詳しくない人がギシギシを見分けるのには、少々ハードルがあるかもしれないが、コガタルリハムシがいるかどうかを判断することは、それほど難しくはない。“ギシギシの葉に穴が空いているか”で、あたりをつけることができるからだ。
コガタルリハムシは群れで発生し、しかも分かりやすい食べ痕を残す。もし発生していれば、ギシギシの葉にはたくさんの目立つ虫食い穴が見られるのだ。

春の時期、このような虫食い痕のある大きな細長い葉を見つけたら、その葉の上と裏を確認してみてほしい。きっと小さな青い虫たちが見つかるはずだ。