■ゴールを設定することの重要性

3つの生業がそれぞれ良い影響を与え合うのが理想

 ブランディングをするうえで、ゴール設定は重要です。

 僕の場合は、珈琲をたくさん売りたいのか、それとも龍神温泉の名前を広めたいのか、はたまた自分の活動を知って欲しいのか、目指すゴールを整理してみました。

 まず、思い浮かんだのは、自分で淹れてお客様に提供する珈琲は、とことんおいしさを追求したいこと。そして、珈琲をただ売るだけでなく、龍神温泉の名前を一緒に覚えてもらうために売りたい。もし、誰かに売ってもらう場合は、僕の活動に賛同してアンバサダーとして龍神温泉や僕の活動を広めてもらいたい。

コーヒーやさつまいもが売れることは、村の名前が広がることにもつながる

 僕は龍神温泉の名前を売って多くの人に村の魅力を知ってもらいたいからこそ、「豆んと森珈琲」という自身のブランドを立ち上げました。ブランドの認知が広がり、仲間が増えて事業が大きくなって村を活性化させることができれば、結果として自分のビジネスの拡大にも繋がります。現状は、目の前のお客さん一人一人に最高の一杯を淹れ、珈琲を通じて龍神村の良さを発信しながら、仲間になってくれる都会のアンバサダーを育てているところです。

村の自然をガイドしたり、さつまいも掘りを体験するイベントも手がけている

 その土地の自然に惚れ込んで移住し、フィールドをガイドしながらカフェを経営する。これは、アウトドアマンとして理想の生業の作り方でしょう。龍神村に移住して以来、「好きを仕事にする苦悩もあるのでは」とよく聞かれます。確かに悩みもあるし、ブランドのコンセプトと人生のコンセプトの狭間で、本当に自分のやりたいことは何なのかと自問自答する日々です。

 しかし、僕は一人ではなく、周りのみんなとビジネスをしたり、暮らしを楽しみたい。だから、そのために自分ができることとして珈琲豆自体のおいしさに徹底的にこだわる。その先に、村が活性化するゴールが見えるからこそ、日々を頑張るモチベーションになるのです。