絶景は山頂にある、とは限らない。
樹林に囲まれるだけの山頂より、その手前や外れた場所のほうがはるかに見晴らしのいい場合もある。
今回は筆者がこれまで登ってきた山の中から、山頂よりも他のところでとても満足した、眺望が悪くても登る価値のある山2つを厳選して紹介する。
■山岳信仰のある山「七面山」

山梨県南巨摩郡(みなみこまぐん)にある、古くから信仰の対象とされている七面山(しちめんさん・標高1,989m)。標高約1,700m地点には「敬慎院(けいしんいん)」があり、七面大明神が祀られている。日本各地から訪れる信者や一般の人が泊まれる宿坊もあり、お寺に泊まるという貴重な体験ができる。
七面山の山頂はこの敬慎院から少し登ったところにあるが、山頂を踏まなくても敬慎院の風情ある佇まいや、境内から望める景色、付近にある7つの池など、このあたりだけ見て満足する人も多いだろう。でもせっかくなら、もう少しだけ山頂に向かってみてほしい。山頂にこそ期待するほどの眺望はないが、その途中で、富士山と周辺の山々などが目前に広がる大パノラマの絶景が見られる。
日帰りでも十分楽しめるが、敬慎院に泊まって修行を体験し、たまには俗世から離れるのもいいかもしれない。
●アクセス情報
JR身延駅からバスで約50分、もしくはJR下部温泉駅からバスで約25分、どちらも「七面山登山口(角瀬)」下車。マイカーの場合は東名高速・南部IC、もしくは中部横断自動車道・下部温泉早川ICを降りる。登山口のすぐ手前に無料「羽衣駐車場」有り。
●【MAP】七面山
【七面山】所要時間
七面山登山口 (0:00) → 中適坊 (1:00) →晴雲坊 (2:30) → 敬慎院 (3:00) → 七面山 (4:00)→晴雲坊 (5:00) →中適坊 (5:30)→七面山登山口 (6:51)
歩行距離:約13.2km
累積標高差:登り 1,589m、下り 1,586m
合計所要時間:6時間51分