京都の街と山が緩やかにつながる、そんなルートを楽しめるのが「京都一周トレイル・東山コース」のはじまりの区間だ。「伏見稲荷(ふしみいなり)大社」の千本鳥居をくぐり抜け、京都の街並みや静かな山道を通ってゴールの蹴上(けあげ)駅へ。

 この記事では、観光も山歩きもどちらも楽しみたい方に、京都トレイル・東山コース起点からのルートを紹介する。

■市街地と山が交差する京都一周トレイルとは

京都東山トレイル唯一の三角点がある、標識18番の清水山山頂

 京都一周トレイルとは、京都の南・伏見から大文字山、比叡山や大原、鞍馬、嵐山までをつなぐ全長約84kmのコースと、自然豊かな京北地域をめぐる約49kmのコースからなるロングトレイルである。市街地と山が交差するのが最大の魅力で、京都の低山ハイキングに最適なコース。

 今回、筆者が歩いたのは、京都トレイルの最初の区間。「京阪伏見稲荷駅」にある「1番」の標識からスタートし、「30番」標識近くの「京都市営地下鉄・蹴上駅」までを辿る約11kmのコースである。

 このコースは街歩きと山歩きが半分ずつで、スタートもゴールも駅近で計画が立てやすい。「電車で行って、電車で帰れる」トレイルコースだ。

■1番・伏見稲荷大社から四つ辻へ 〜 観光地からスタート

伏見稲荷大社のカギをくわえたキツネ

 京阪伏見稲荷駅にある「1番」から歩きはじめ、世界的にも有名な伏見稲荷大社の境内の中を通過していく。

 伏見稲荷大社は、稲荷神社の総本宮で約1300年の歴史があり、参道にはカギや巻物、稲穂をくわえたキツネの像があちこちにある。千本鳥居の中を外国人観光客の多さに圧倒されながら、ひたすら階段を上っていく。

 四つ辻までは長い石段が続き、途中で立ち止まるのもはばかられる混雑ぶり。息があがっても、流れに身を任せて一歩一歩上るしかない。

 歩きはじめて約40分、四つ辻に辿り着くと、急に視界が開ける。標識は「3番」で、京都市内を一望できる展望台は最初の休憩ポイントだ。

■8番・今熊野観音寺 〜 住宅街歩きから登山道へ

今熊野観音寺にある、弘法大師の霊水と言われる「五智水」

 四つ辻を越えてさらに進むと「8番」標識近くで「今熊野(いまくまの)観音寺」に到着する。このお寺は「ぼけ封じ観音」として知られ、弘法大師が開いたとされる。境内には「五智水(ごちすい)」と呼ばれる霊水が湧き、頭痛封じや学業成就などのご利益がある「頭の観音様」が祀られている。トイレもあって、ほっと一息つける場所だ。

 今熊野観音寺を過ぎると、しばらく住宅街が続く。住宅街の中の道標を見落とさないように、また近隣住民の迷惑にならないよう、静かに歩こう。「11番」標識からいよいよ登山道へ入る。住宅地の道路から階段を上っていくと、雰囲気が街から山へと一変する。

 途中「14番」標識で、再び市街地に下りる。ここには京阪バス「清閑寺(せいかんじ)山ノ内町」停留所があり、京都駅や四条大宮、三条京阪方面へバスで移動できる。この地点で、まだ予定コースの半分が残っている。万が一、体力的にきつくなったり、天気が悪くなった場合は無理せずここで切り上げよう。