関東地方の平地では、ウメも盛りを過ぎて、サクラの開花が楽しみになる頃となってきました。その間の3月中旬から下旬を楽しませてくれる貴重な花がミツマタです。丹沢には有名な大群落スポットがありますが、規模が小さくてもよいから落ち着いて花を愛でたいという方におススメなのが、今回ご紹介する「ミツマタ桃源郷」です。
■ミツマタ桃源郷


神奈川県厚木市にある大厚木カントリークラブの中の道(市道)を進んだ先のゲートを開けると、相州アルプスの一つである高取山の登山口(大平登山口)となっています。そして、そのすぐ脇を、約120メートルにわたり数百本のミツマタが群落となって生えています。この場所は、地元の方々が2013年3月に見つけ、「ミツマタ桃源郷」と命名したとのこと。それ以来、付近の整備などを行い、保全活動を行ってくださっているようです。
規模としてはこぢんまりとしてそれほど大きくはないのですが、静かにじっくりと楽しみたい人にとっては、最高の場所だと思います。
■花ではないミツマタの“花”とは


ミツマタは、その名の通り枝が三つに分かれて伸びていくので、花がなくてもすぐわかります。和紙の原料としても有名で、コウゾ・ミツマタ・ガンピが三大原料となっています。ここの場所も、もともとは和紙の製造のために植えられたものが放置されて広がったようです。
ミツマタは、ジンチョウゲ科の植物のため、ジンチョウゲと花のつくりはよく似ています。筒状の「花」の先端部が四つに裂けて黄色くなりますが、これは花ではなく咢(がく)なのです。ならば、どこが花なの? と思うでしょうが、花びらである花弁はありません。そんなちょっと不思議な「花」がミツマタです。