言わずと知れた日本最高峰の山「富士山」。今シーズンより入山料の納付が義務付けられたが、連日変わらず賑わいを見せている。
さて今回は、富士山開山中でも唯一マイカーで五合目アクセスが可能な「御殿場口新五合目」を拠点とし、富士山中腹の宝永山(ほうえいざん)を目指すコースを紹介したい。
宝永山は、富士山の南東斜面に位置する標高2,693mの側火山(そくかざん)だ。1707年の「宝永大噴火」によって生まれた火山体で、現在でもその火口跡である「宝永火口」は生々しい地形を残している。
御殿場口から富士山山頂を目指す場合、登り8〜9時間・下り3〜4時間を要する上級者向けのコースとなるが、宝永山を目的地とすれば、往復所要時間6〜7時間程度となる。富士山の火山地形や非日常的な景観をじっくり楽しめるのがこのコースの魅力だ。さらに、下山時には名物「大砂走り(おおすなばしり)」にチャレンジでき、滑り降りるような爽快感が待っている。
■御殿場口から宝永山往復コース

●御殿場口新五合目駐車場へのアクセス
御殿場口新五合目は、静岡県御殿場市の標高約1,440m地点に位置している。吉田口・須走(すばしり)口・富士宮口などの登山口はマイカー規制が敷かれ、シャトルバスの利用が前提となるが、御殿場口だけは個人車両での乗り入れが許可されている。
車でのアクセスは、東名高速・御殿場ICから富士山スカイライン経由で約40分。五合目の駐車場は無料で開放されており、トイレや案内板が整備されている。また、御殿場駅から登山バスも運行されているが、本数が少ないため、事前の時刻確認が不可欠だ。
【高尾山から景信山縦走コース】所要時間
御殿場口新五合目(0:00)→ 大石小屋 (0:15)→ 半蔵坊(3:30)→ 宝永山 (5:00)→ 御殿場口新五合目(7:00)
歩行距離:約11.7km
累積標高差:登り 1,471m、下り 1,476m
合計所要時間:7時間
■富士山の側火山「宝永山」の火口に迫る!

●富士山御殿場新五合目から新六合目「半蔵坊」へ
御殿場口五合目から登山を開始すると、整備された砂利道の緩やかな登り坂が始まる。足を取られるほどの細かい砂れきと思いきや、拍子抜けしてしまうが、次第に火山特有の細かい砂地へと変化していく。足を踏み出しても地面に吸収され、半歩ずつしか前に進めないような感覚は、まるで蟻地獄や砂漠にでも迷い込んだようだ。この独特な足運びが、体力と集中力をじわじわと奪っていく。
道幅は広いので、早朝や日中に歩くには、迷う心配はほとんどない。ただし、強風が吹きやすく、砂れきが舞い上がることもあるので、サングラスやネックゲイターがあると顔や目を保護できるだろう。道中に見上げると、富士山本体の大きな稜線が空を切っていて、自然のスケールを肌で感じられる。
途中の休憩ポイントが少ないことでも知られる御殿場ルートだが、標高2,590m地点にようやく半蔵坊(はんぞうぼう)という山小屋が現れる。この先の宝永山までトイレはないので、協力金を支払い利用させてもらおう。
