■春を感じる花の道と原生林を抜けて愛鷹山山頂へ

●長泉町森林公園駐車場から愛鷹山登山口まで
広い愛鷹山塊のスタート地点のひとつ、長泉町森林公園駐車場。広々としていて、簡易トイレや案内板もある。4月上旬は駐車場周辺の桜も満開を迎え、登山者の目を楽しませてくれる。入念に準備を整えたら登山開始だ。
最初は森林公園内のなだらかな遊歩道を進む。これからの季節、新緑が美しく、ミツバツツジなどが遊歩道を彩ってくれる。よく整備されており、ハイキング気分で歩ける区間だが、分岐が多く、池ノ平へと続く道もあるので案内板をよく見て進もう。
やがて遊歩道を抜けると、本格的な登山道へと入る。ヒノキが中心の樹林帯の中を歩いていると、ときおり、猛毒のあるカエンタケの張り紙がある。筆者が入山したときは見かけなかったが、もし見つけた際は手を触れないよう気をつけてほしい。
道は次第に登りが多くなり、さらさらと流れる小川の渡渉ポイントもある。降雨後など注意が必要だが、平時は問題ないだろう。しばらく進むと「愛鷹山登山口」に到着。ここで小休止し、次の急登に備えよう。

●愛鷹山登山口から尾根分岐を経て愛鷹山山頂へ
愛鷹山登山口から、丸太の階段を登った先は次第に傾斜がきつくなる。森林に囲まれた静かな登山道で、ところどころに倒木を越える場面もある。苔むした岩も点在し、雨上がりなどは滑りやすいので慎重に進みたい。
尾根に向かう急登が現れれば、もう中盤だ。このあたりでは道が狭く、足元の踏み場を確認しながら登る必要がある。途中、木々の合間から富士山が見え隠れし、登山の疲れを癒してくれるポイントもある。登り続けると、やがて愛鷹山と袴越岳(はかまごしだけ・標高1,248m)の尾根分岐に到着。
分岐点から愛鷹山山頂までは20分ほどだが、最後の急登が待っている。距離は短いが、傾斜がきつく、岩肌むき出しの道もあるため、手を使って三点確保しながら登る場面も出てくる。体力を消耗しやすいため、こまめな水分とエネルギーの補給を心がけることが重要だ。
やがて樹林帯を抜け、開けた場所に出る。そこが愛鷹山の山頂だ。標高1,187mの頂からは、駿河湾や伊豆半島まで見渡せる絶景が広がる。背後には富士山がそびえ立ち、登頂の達成感を味あわせてくれるはずだ。富士山を望めるポイントでは、アセビの群生がより感動気分を高めてくれる。十分に景色を楽しんだあと、下山ルートを確認しながら帰路につこう。


●登ってきた道を使って下山!
愛鷹山山頂での絶景を満喫したあとの下山道では、膝への負担を考慮しながら慎重に進むことが大切だ。特に山頂直下の急坂は、滑りやすい岩場が多いので、登りと同様に手を使って三点確保しながら降りよう。
袴越岳との分岐点を過ぎると、ややなだらかな下り道となり、木々の間から富士山を望めるポイントもある。登りでは気づかなかった景色を楽しみながら下るのも下山の醍醐味だ。 愛鷹山登山口に戻ると、勾配が落ち着き、森林公園の遊歩道へと入る。整備された道を歩きながら、登山の余韻を味わいつつ駐車場へと向かう。

●ミツマタとアセビが出迎えてくれる愛鷹山登山
愛鷹山は、富士山の南側に位置する展望が魅力的な山だ。変化に富んだ道のりと、富士山や駿河湾の眺望ポイントがあり、山頂からは広大な景色が広がるので達成感も格別だ。
とは言え、適切な装備と体力配分を考える経験が必要となる。登山経験を蓄えてから、ぜひチャレンジしてほしい。