松本市の西部、北アルプスの麓に広がる「乗鞍高原」は、中部山岳国立公園に指定されている自然豊かなところ。冬は良質な雪が積もり、「Mt.乗鞍スノーリゾート」でスキー・スノーボードを楽しんだり、ふかふかの雪をスノーシューで散策したりと、さまざまなウインターレジャーが楽しめる。

 また、高原にはいくつもの滝が点在し、そのなかでも「乗鞍三名滝」と呼ばれる3つの大きな滝がある。「冬は氷瀑を見ることができるよ」なんて話を聞きつけたので、「乗鞍三名滝」の1つ、「善五郎の滝」へとさっそくスノーシュー散策に出かけてきた。

■スノーシューとは

スノーシューはふかふかの雪を楽に歩ける便利なアイテム

 スノーシューは雪の上を歩くための道具で、“西洋風のかんじき”のようなもの。森の中や雪原など、雪が積もっている場所を普通靴で歩くと足が埋まってしまうが、スノーシューを履くと浮力が働き、ふかふかの雪でも歩きやすくなる。斜度がある登り道では、かかとの下にあるヒールリフターを上げると歩きやすくなるなど、雪上歩行がいろいろと便利になるのだ。

 また、スノーシューを利用するときはスノーブーツを履いておく。ポールがあると体を支えたり、バランスを取ったりしやすくなるので便利だ。これらのアイテムは、乗鞍高原のアクティビティ施設などでレンタル可能だ。

スノーシューには左右があるので装着前にLとRの表記を確認

 スノーシューには右と左があり、本体にRとLのマークが表示されている。装着するときはつま先までしっかり入れて、かかとのストラップを締めてブーツを固定するという方法が一般的だ。装着方法はメーカーやモデルによって違うので、レンタルの際に確認しておこう。

歩き方のコツを覚えればスノーシューで雪の上を快適に進めるようになる

 そして、スノーシューは幅があるので、足を肩幅ぐらいに開き気味にして歩くのがポイント。歩くときはなるべくすり足で、スノーシューの後ろ側を引きずるようなイメージで進んでいく。雪が深いときは一歩ずつ足をあげて歩いてこう。

■まずは駐車場から滝見台へ

ラッセルは少し疲れるが、ふかふかの雪の上を歩く浮遊感はやっぱり気持ちいい

 それでは、「善五郎の滝」に向かってさっそく出発していこう。滝へと向かう入り口は、スキー場中腹の「やまぼうし駐車場(第三駐車場)」と、そこから県道を少し下った「善五郎の滝 入り口」という案内板がある駐車場の2か所。今回は、やまぼうし駐車場(第三駐車場)に車を停めて、滝へと向かう遊歩道を通ることにした。こちらのルートは途中に氷瀑を上から見ることができる「滝見台」を経由できるからだ。また、このルートは滝まで下っていくため、所要時間が短くて済むのだ。

 しかし森の中に入ってみると、下の入り口から滝に向かう人が多いのか、こちらのルートはまったく踏み跡がない。前日に降雪があったばかりなので、膝まで埋もれる新雪をラッセルしながら、森をゆっくりと下って行った。

晴れた日は、滝とその上の乗鞍岳までが見えるという「滝見台」

 遊歩道はすべて雪に埋もれてしまっているが、森の中にルートが延びているのがちゃんとわかる。行きかう人にも出会わないので、喧騒のない静かな雪の森が心地よい。

 しばらく森を下っていくと「滝見台」に到着。そこから「善五郎の滝」を見下ろすと、滝は完全に凍結。青い鍾乳洞のような巨大な氷の塊が山の中に鎮座している。さらに森を下ると滝の間近に行けるので「早く目の前で見たい」とわくわくしてくる。

氷瀑が見られる「善五郎の滝」

■急な階段と橋を越えて滝へ

踏み跡がついた道をらくらく歩きながら滝へと近づいていく

 「滝見台」から先は踏み跡がついていて一気に歩きやすくなる。そして「善五郎の滝 入り口」の駐車場から来る道と合流すると、スノーシューをするほかの観光客をチラホラ見かけるようになってきた。

 ルートが合流した先は急な下り道になっていて、ポールで体を支えながら慎重に降りていく。坂道を降りきると川に橋が架かっており、たっぷり雪が積もっているので両脇が雪壁のようになっていた。橋を渡ったら上流に進み、階段を登ったら目的地の「善五郎の滝」はもうすぐだ。

雪壁の真ん中を通るように橋を渡っていく。橋の下を流れる川も雪で埋まっていた
雪と氷に包まれた川も神秘的。厳冬期ならではの自然風景だ
「善五郎の滝」や周辺の遊歩道マップ