北海道の冬の観光といえば「さっぽろ雪まつり」が有名だが、せっかく北海道を訪れたのであれば、雪像や氷像とはまた違う、自然の力強さを感じられるスポットを訪れてはいかがだろうか。

 今回は札幌から車で約1時間半、スケジュールさえ調整できればさっぽろ雪まつりとのハシゴもできる、日本屈指の透明度を誇る支笏湖で開催される「千歳・支笏湖 氷濤(ひょうとう)まつり」をレポートする。

■大迫力!  美しい「支笏湖ブルー」の氷の柱

高さ13 mの巨大な氷の柱(ブルータワー)は大迫力

 氷濤とは、湖の波しぶきで作った氷の柱のこと。「千歳・支笏湖 氷濤まつり」にある氷濤は、全て支笏湖の水をポンプで組み上げ、スプリンクラーで噴霧して製作されたものだ。

 会場に入ると目に現れる2本の氷の柱・ブルータワー。青い空に向かってまっすぐに聳え立つブルータワーは太いつららと美しいドレープ状の氷でできており、水が滴りながら凍ったのが一目見ただけで想像できる。

 製作方法についてガイドさんに質問してみたところ、驚くことに氷の製作期間は24時間体制でほぼ1か月もかかるとか。「氷点下10℃を下回り風も強いこの支笏湖でそんなことをするんだから、全身氷だらけになっちゃうんだよ」と、ガイドの木下さんは笑いながら教えてくれた。

氷濤製作時のスタッフの様子を記録した写真も展示されている

 支笏湖の水は、プランクトンや土砂などの不純物が極端に少ない。そのため青い光だけが目に届くそうだ。「支笏湖ブルー」と呼ばれる真っ青な氷は自然が作り出す賜物だ。陽の光に照らされた氷濤は、どれも深みのある美しい青をしていた。

 「表面に被った雪をほろえれば(北海道弁で払い落とせれば、の意味)もっと青がわかるけど、今年は暖冬のため雪がほろいづらいんです」と木下さん。もっと寒い日に見ることができれば、さらに目を引く美しい青が見られただろう。

まるで絵の具を垂らしたように鮮やかな自然の青

■冷えた体におすすめのアイスキッチン

間伐した白樺を使ったナチュラルなテーブル

 訪れた日は暖かい、と言っても気温は3℃。体は冷え、温かい飲み物が欲しくなる。そんな時にうれしいのは壁も天井もあるカフェ。氷濤の中に作られたアイスキッチンではコーンスープやオニオンスープ、コーヒーに紅茶とメニューも豊富。以前は屋台などで食事も提供されていたそうだが、コロナ禍を機にドリンク提供のみとなった。

 「来年以降は地元の名産品を使ったフードなどが提供されるとうれしいなぁ」、とニヤニヤ想像しながらホットコーヒーでひと休み。風の強い支笏湖で落ち着ける空間があるのは、本当にありがたい。