■さあ、いよいよ火入れだ!

 山の陽が陰り始める午後3時ごろ、いよいよ火入れ開始。普段の焚き火ではフェザースティックにファイヤースターターをこするという儀式の欠かせない筆者だが、この日は無理せず着火剤を使って点火。蓋を閉め、吸気口を開く。

着火剤の上に木片を被せて着火

 赤い火が着火剤に被せた木片の間を縫っていく。細めの薪へと順々に伝っていくと、やがて耐熱ガラス窓からパッと赤い明かりが広がった。初めての使用時は、まずは20〜30分、細めの薪で慣らし運転を行う。この工程は、筆者はテントを開け放して行った。まだ勝手がわからない中、不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生することが怖いので、テント内に新鮮な空気をいっぱい取り入れるためである。そのためにも明るい時間帯に始めたかったのだ。

 薪を太くして火が安定し、あたりが暗くなるころ、テントを閉じファスナーは半分くらい開けることとした。火力が高まるとテントいっぱいに広がる暖気! 予想以上だ! ほっかほかで思わず防寒着を脱ぐ。ただ、熾火になると寒さが戻り、防寒着が必要となった。もう少し、ファスナーを閉じていても大丈夫だったかも知れない。この日、一酸化炭素チェッカーがゼロ以上を示すのを見たことは一度もなかった。

火が安定したので、調理開始。

この日、ホームセンターで購入した薪は水分が多く、乾燥させながら使用した(くれぐれも熱し過ぎに注意!)

■ステーキと鍋に舌鼓!

 火力が上がるとアウトドア・クッキングも楽しい!

 ステーキ肉をスキレットで少し焼き過ぎてしまったほど、火は勢いが盛ん。鍋は、最初は火力を上げて加熱し、煮上がってからは熾火にしてじっくりと楽しんだ。どうやらコツがあり、火力を上げるときは、薪を少し高めに積んで薪ストーブの天井に近づけた方が熱は調理具に伝わりやすい。やかんが湯気を立て、ホットウイスキーに息をつく。

ステーキ肉を少し焼き過ぎてしまった
ほっかほかの鍋に舌鼓。煙突は赤くなるほど高温になる

 トイレに出ると外は極寒の世界! 支配するのは顔に刺さる冷気だ。きらびやかな星空がかえって氷点下を際立たせ、テントの中へと追い立てられる。迎え入れてくれるのは赤々と熱を発する新品の薪ストーブ。ガラス窓の向こうで揺れる炎が胸にジンと温もりの火を灯してくれるよう。新アイテムの導入は、どうやらうまくいったようだ。

 読者の皆さんも、くれぐれも自己責任で安全対策をしっかりとったうえで、大自然と冬の清冽な空気に包まれて、暖炉のある特別な時間を楽しんでみてほしい。

 更けゆく夜に火を落とし、湯たんぽを抱いて眠りについた筆者であった。

極寒のキャンプ場に火の温もり。 トイレの温度計はマイナス1℃を示していた
炎のある特別な時間を満喫した