秋は空気も澄んで虫も少なくなり、キャンプで気持ちよく過ごせる季節。景色も色彩豊かに色づき始め、大自然の中での秋キャンプは非日常感をいっそう感じられる。
秋キャンプ初心者が気になるのは、寒さ対策ではないだろうか。焚き火でも十分暖をとれるのだが、幕内で快適に過ごしたい人も多いだろう。
そこで浮かぶのが、石油ストーブと薪ストーブ。では、自分のスタイルに合っているのがどちらなのか。今回はどちらも所有している筆者の視点で、ポイントごとにチェックしていきたい。ぜひ参考にしてほしい。
なお、テント内での火気使用は自己責任であり、十分な換気を行い、一酸化炭素報知器を必ず設置しよう。
■薪ストーブのメリット、デメリット
テント内での薪ストーブは、誰もが憧れるアイテムだ。煙突から出る煙が何とも風情がある。最近では折りたたみ式のコンパクトな薪ストーブも販売されており、収納面でも工夫がされているキャンプギアと言える。
●薪ストーブのメリット
焚き火感覚が味わえて、雰囲気がいい。ガラス付きの薪ストーブであれば、ガラス越しに揺れる炎を見ているだけで趣がある。
ストーブ全体が熱を発するので、筐体にもよるが、石油ストーブよりも暖かい。また、天板での煮炊きや調理可能で、長時間の煮込み料理や保温にも便利である。
●薪ストーブのデメリット
火が消えてしまえば寒くなるので、定期的な薪の投入が必要である。薪ストーブは燃焼効率がよいため、1〜2束を想定すると2,000円近くコストがかかるだろう。
設営時は高温になる本体や煙突が、テントに直接触れないようにセットする必要がある。煙突は立てた角度によっては、テント内に煙が逆流してしまう可能性もある。撤収後は掃除などのメンテナンスも重要だ。テント本体も難熱性素材のものが必要となってくる。
●薪ストーブは、初心者にはハードルが高い?
巣篭もりが必要な外気温1桁や氷点下では、焚き火で外で過ごすには寒すぎる。その点、焚き火感覚を楽しみたい人にとっては、薪ストーブはテント内で同様の感覚が楽しめるキャンプギアと言える。
しかし、薪ストーブは設置や使用できるテントが限られるといったデメリットが多く、火傷のリスクも石油石油ストーブより高いことを考えれば、初心者にはハードルが高い暖房器具と言える。
■石油ストーブのメリット・デメリット
●石油ストーブのメリット
石油ストーブは、面倒な煙突などの設置も不要であり、設置するだけですぐに使用可能だ。撤収時、灰の片付けや本体が冷めないと片付け作業ができないこともなく、石油ストーブは点火と消火で済むので手軽に扱える。
また石油ストーブは一度点火すれば、あとはほったらかしでOK。薪ストーブのような定期的な火の世話も必要なく、他のことをしながらテント内で快適に過ごせる。
コスト面でも石油ストーブの消費量は、灯油代を1L110円とすると1時間約23円。8時間で200円弱程度で済み、ランニングコストの面でも優れている。
コンセントを持たない石油ストーブは、災害時でも大活躍。真冬の停電など電気が使えない場合でも心強い。
●石油ストーブのデメリット
実際に薪を燃やす薪ストーブと比較すれば、趣は少ない。キャンプらしさを考えると、薪ストーブの雰囲気に劣ってしまう。
石油ストーブは場所を取らない分、天板面積も狭い。天板面積が広い薪ストーブであれば、焚き火料理をしながらの調理が可能。薪の投入と調理も兼ね備えたキャンプを楽しみたい人には物足りないだろう。