■8時半 いよいよツアーへ出発

 私たちはクイーンズタウンに前泊し、トレッキング後は同じホテルに戻ってくるスケジュールにしました。そのため、ホテルにスーツケースや普段着など山に不要な荷物を預けていくことができました。

 ツアー初日は、トレッキングウエアに着替えバックパックを背負い、クイーンズタウンの中心地にあるツアーセンターへ向かいます。ガイドさん4名を含む約50名の参加者が集まりました。なんと、運よく日本人ガイドさんがいるじゃありませんか!  あまり英語が堪能ではないため、この時の心から安心した気持ち、伝わるでしょうか。

ツアーセンターにて受付。日本人ガイドさんが運よくいました!

 ここからはバスでテ・アナウという船の発着所へ移動し、テ・アナウからグレートワーフというトレイルのスタート地点までクルーズ船で渡ります。

バスの中から雄大な草原の中でのびのび暮らす羊たちが見えます
船に乗り「ミルフォードトラック」の出発点へ移動します

 この日はお天気が良かったので船の2階のデッキに上がる人が多数いました。どんな景色が待っているのか、船から見える山々に胸が躍ります。ミルフォードトラックの11月の気候は、最低気温5℃~最高気温20℃のため防寒から日焼け対策まで必要でした。

船のデッキから見る雄大な自然に気分が上がります

 グレートワーフに到着後、登山靴とトレッキングポールについた汚れを洗います。国立公園の自然を守るために義務付けられています。

トレッキングシューズとポールの汚れを落とします

■11時 ミルフォードトラックを歩き初日の宿へ

 船を降りてすぐのところに、「ミルフォードトラック」の看板がありました。ここは記念撮影しておきたいポイントですね。初日の歩行時間は約30分で、平坦な砂利道を歩いていくと宿泊するロッジ「グレードハウス」に到着します。

ついに始まります!  ワクワクしかないです!
トレイルは整備されていてとても歩きやすいです

 ロッジは山小屋というより立派な宿泊施設です。宿の入り口にはウェルカムドリンクとフルーツが用意されていました。名前を告げ、部屋にいったん荷物を置いたら周辺をガイドさんが案内してくれます。

 部屋は2段ベッドが2つあるタイプが多く、ツインも申込時に指定が可能です(追加料金あり)。私たちは4名のシェアルームでしたが2名で使わせてくれました。

初日のロッジ「グレードハウス」。とても大きくて立派です
スタンダードな部屋は2段ベッドが2つ置かれていました

■11時45分 ロッジ周辺の森を散策

 今回日本人の参加者は7名いましたが、これはとても珍しいことのようです。ガイドさんの提案で、初日だけは特別に日本人の方のみをグループにしてロッジ裏の森を散策することになりました。

手つかずの原生林には苔の大地が広がります
大量の雨と湿気によりシダが大きく元気に育ちます

 手つかずのブナの原生林を歩きながら、ガイドさんからミルフォードトラックは氷河が削り出した地形のため、地面が土ではなく岩になっていること、大量の雨と湿気のお陰で苔やシダがよく育ち、それらを土代わりにして岩の上に木が根を張って立っていること、クマやヘビは生息していないことなどを教えてくれました。

■18時 ドキドキのディナータイム

 宿に戻りシャワーを浴びてダイニングルームに行ってみると、外国人の皆さんが早々にお酒を飲みながらワイワイと交流していました。宿泊する全てのロッジで別途料金でアルコールを購入することができます。筆者はニュージーランド産のクラフトビールを頼みました。

初日お疲れさまでした!  乾杯!

 ダイニングの席は決まっておらず、だいたい7~8人に分かれて自由に座ります。「こんにちは、ここ座ってもいいですか?」とコミュニケーションを取りながら、住んでいる国のことや行ってみたい山などについて会話を楽しみました。

ディナータイムでは自由な席で周りの方とコミュニケーションを取ります

 私たちは初日は日本人の方たちと一緒の席に座りました。中には、海外でバックカントリースキーなどを楽しむ77歳(!)の男性とそのお仲間や、勤続35周年の特別休暇で参加したトレラン好きな方、海外の山へ久しぶりに一人旅に来た男性などがいました。

 食事内容はなんとコース仕立てで、前菜、メイン、デザートが用意されていました。毎日その日のメイン料理をアンケートで選びます。メインはお魚、お肉、ビーガンメニューで構成されることが多く、日本の山小屋では考えられない豪華すぎるディナーに驚きました。

山小屋とは思えない豪華すぎるディナーに驚きました

ディナーの後はガイドさんの自己紹介、翌日歩くコースについての説明や注意事項に続き、ツアー参加者の自己紹介タイムへ。ツアーには、コロンビア、カナダ、ウクライナ、オーストラリア、インド、韓国など世界各国からの参加者がいました。筆者は英語が堪能ではないので、このツアーに参加した理由を話す際にガイドさんに通訳を頼むと快く受けてくれました。

ディナー後は毎晩翌日のブリーフィングがあります

 消灯時間は22時で、同時に全ての電源が落とされるので携帯の充電などはそれまでに済ませます。夜中にトイレに行く時のためにもヘッドライトは必携です。朝晩は冷え込むことが多く、湯たんぽの貸出しがあるため暖房が切れた後でも暖かく眠れました。

 翌日からいよいよ本格的なトレッキングがスタートします。その模様は連載第2回で詳しくレポートします。

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