■鮮度はスピード勝負! とにもかくにも速くさばく
買い付けた魚はトラックで缶詰工場に運び込まれる。魚市場と工場との距離は、近ければ近い方がいい。そのために魚缶詰を造る工場は、どのメーカーもほとんど港沿いに建てている。
氷漬けなどにして鮮度を保っていた魚は、工場に入るなり、すぐに加工される。小さな工場の場合、魚をさばく作業員が「魚はまだ着かないの!?」と、トラックを待ち構えているから面白い。とにもかくにも速くさばき、缶に詰めて密封したいのだ。とくに青背の魚に含まれるオメガ3系脂肪酸は、空気に触れれば酸化が始まるから、スピードが勝負なのであります。
■小さな魚をさばくなら手作業
ちなみに、この記事では複数の工場の画像をミックスして使っている。上の画像はポルトガルの北西部ポルト郊外にある工場で撮ったもの。魚をさばく作業台が総大理石造りなのが印象的だった。
作業台は8台あり、それぞれに7〜8人の女性が並んで、一斉に頭と内臓、ウロコを取り除いていく。その手際は正確で速く、工場長いわく「機械化することも考えたが、イワシくらい小さな魚なら手作業のほうが速い」のだそうだ。また、手で触ることで、魚体に釣り針などの異物が入っていないかの確認もできる。
さばいた身は冷水で洗って血などを落とし、缶に詰めて、オリーブオイルや塩などを加えてから真空状態で密封。あとは巨大な釜に入れて缶ごと調理&加熱殺菌すれば缶成(完成)である。