新潟県糸魚川市と長野県小谷村の県境に位置し、日本百名山の一つにも挙げられているのが雨飾山(1,963m)です。四季を通じて魅力的な山ですが、とくに紅葉の時期の美しさは格別です。秋は気候的にも登りやすいので、多くの登山者で賑わいます。

 今回は登山道の様子を確認したり、写真を撮りつつ歩きました。例年より遅めに色づいた木々は標高1,500mあたりが彩り鮮やかで、荒菅沢から見上げた紅葉の景色が見事でした(取材日:2024年10月21日)。

■小谷温泉から目指す雨飾山

駐車場の奥にある登山口。紅葉の時期は平日でも満車になります

 「雨飾温泉(新潟県糸魚川市)」からのルート他、登山道はいくつかありますが、今回は筆者が所属する小谷登山案内人組合も登山道整備を行なっている「小谷温泉」側のルートから登ってきました。緑豊かな森から迫力の谷、緊張感のある岩場、爽快な笹原の稜線歩きなど、バリエーションに富んだ登山ルートで歩きごたえがあります。

 キャンプ場脇の駐車場にある登山口には、トイレと休憩できる小屋、飲料と携帯トイレの自販機があります。登山口に着いた朝の気温は4℃とかなり冷え込んでいました。すでにかなりの台数の車が停まっており、登山口まで20分ほど歩きます。

まずは平坦な道がしばらく続きます。枝ぶりのいいヤナギが朝日に輝いています

 小屋で登山届を記入したらスタート。サルナシやヤマブドウの蔓が茂るプロムナードを抜け、まずは緩やかに下っていきます。ここは大海川沿いの河原となっています。2022年に少々ルートが変わっていますが、道標に従えば問題ありません。

 木道からは小川に揺らぐイワナの姿も見つけました。ちなみにここは(渓流釣りシーズンも)禁漁区です。

■降り注ぐ秋の光! 美しいブナの森

急な登りがしばらく続きます。荒れやすい道ですが、道普請の成果が出ているでしょうか
木々の隙間から秋の光が降り注ぐ「ブナ平」は憩いの場

 いきなり急な斜面となり“登り”が始まります。しかも長く続きますので、焦らずゆっくりと(下りでは疲労や焦りもあり、スリップして転倒する人も多いです)。移りゆく季節を感じながら、のんびり登山道を辿っていくと「ブナ平」へ到着です。このあたりの森は巨木が多く、秋の光に照らされた明るい森の景色に心躍ります。腰を下ろし、四季折々の森の表情を眺めつつ一息入れるのにもってこい。筆者は山仕事も含めて行き帰りにここで休むのを楽しみにしています。木々は色づき始めたばかりで、紅葉のピークはまだ少し先になりそうでした。

森のなかの携帯トイレ用ブース(通常のトイレではありません)

 森のなかをトラバースするように進むと、ルート上、唯一の携帯トイレ用ブースがあります。その先、森を抜けると視界が開け、いよいよ荒菅沢の絶景が! 急な斜面を沢に向けて下っていきます。