日本百名山である苗場山(なえばさん)は、新潟県と長野県をまたいだ県境に位置する。標高2,145mの山頂は約4km四方の平坦な地形になっており、広大な湿原が広がる。山頂にこれだけの湿原が広がる山は珍しく、「天空の楽園」と称され山頂に登った者のみが体験できる不思議な世界がそこにはある。

 日帰りで行けるコースも多いが、筆者は1泊登山をおすすめしたい。1泊することで時間と体力に余裕ができ、湿原の散策や朝夕の景色が楽しめる。アップダウンや急坂があり体力が必要だが、それでも登る価値があるのだ。

■コースタイム 7時間30分の祓川(はらいがわ)ルート

ゲレンデへの入口の和田小屋

 いくつかあるコースのなかで、祓川(はらいがわ)ルートは首都圏からアクセスがしやすく、最短の小赤沢ルートに次いで短いコースだ。コースタイムは往復で7時間30分となっている。人気のルートで登山道は整備され、案内標識もわかりやすく設置されているため安心感が感じられる。

●アップダウンのあるルートと岩場

和田小屋から神楽ヶ峰へ向かうルート途中の岩場

 登山は祓川登山口の駐車場からスタートする。和田小屋までは車道を進むので歩きやすく、和田小屋からしばらくなだらかな道を進む。その先の神楽ヶ峰(かぐらがみね)に向かう途中にはゴツゴツとした岩場が現れる。特別に危険なルートではないが、浮き石や足の踏み外しに注意したい。

 神楽ヶ峰を過ぎると雷清水(かみなりしみず)まで20分ほどの下りが続く。雷清水では湧き水を汲めるので飲み水として補給しよう。筆者はそのまま飲むのは心配なので、沸騰させて山頂でコーヒーを飲むために使うことにした。

●山頂目前の登り坂が頑張りどころ

苗場山山頂目前のきつい登り坂

 雷清水で水を汲み終わってルートの行く先を見ると、急な登り坂が目の前に立ちはだかる。最後の難関だ。

 山頂目前の最後の登りはきつい坂が続き、このルートで一番体力を使うところだ。歩きはじめは山頂が見えないので遠い道のりに感じた。