■紅葉の見ごろを迎えた荒菅沢の絶景! スリリングな尾根をいく
荒菅沢は夏場には雪渓が残る沢で、多くの登山者がひと休みする場所。上部に行くほど急峻な斜面の紅葉はまさに見頃となっており、見上げると燃えるように色づいた木々がそそり立つ岸壁と迫力あるコントラストを見せてくれていました。
対岸の尾根に取り付くと、ふたたび登りが続きます。やがて尾根上に出ると景色は良くなりますが、狭い岩場とハシゴが連続する、このルート一番の難所ではないでしょうか。急な岩場こそ浮き石が多いのも特徴です。配慮のない足運びによる落石も何度か見られたので、気を引き締めて慎重に足を運びます。しかし、すれ違いも多く、足元ばかりを見ていると行き詰まってしまいます。
麓では落ち着いていた風ですが、このあたりから一気に強まり風を防ぐ上着を羽織りました。立ち止まって振り返ると、絶景が眼下に広がっています。
■緑の野原、笹平を抜けてひと登り! 見下ろす“女神”の美しさ
尾根を登り切ると笹平です。夏場は高山植物の花々が咲き乱れる場所で、開放的な景色が広がっています。奥に見える雨飾山の山頂部を目指して爽快な気分で歩みを進めます。この登山道が実は……。
広がる笹原の先には最後の急坂が迫ってきます。もうひと頑張り。歩みを止めると秋風が優しく撫でていきます。歩いてきた道のりを見下ろすと、笹平に刻まれた道がまるで「雨飾山の女神」のような美しい横顔を見せてくれます。周囲を紅葉の彩りに囲まれ、笹野原の緑が浮き上がっているようで印象的でした。
■山頂から望む日本海! “女神の横顔”を拝みながら下山の途に
登り切ると突如として現れる山頂は、左に山頂標識がある南峰、右奥には石仏が立ち並ぶ北峰があります。2つのピークは近く、どちらも大いに賑わっていました。強風が吹きつけています。以前であればうっすらと雪化粧していてもおかしくない時期ですが、気温がそれほど低くないのがせめてもの救いでした。
日本海の吸い込まれるような青、北アルプス北部から南部へと鋭利なシルエットが連なっています。見事な360度のパノラマが広がっていました。いつまでも眺めていたい景色で名残惜しいですが、往路を引き返します。秋の日は短く暗くなるのも早いです。下りこそ慎重に丁寧に歩いていきました。
取材日当日、登山口から雨飾山頂の所要時間
登り:3時間05分、山頂で40分滞在
下り:2時間10分(共に休憩やすれ違い待ち、撮影時間含む。これ以上かかる場合も多いです)
※北アルプス北部地区遭難対策協議会による登山相談所の開設時期は過ぎましたが、鎌池と合わせて混雑が予想されます。取材日も第2駐車場も満車で、誘導の方に700mほど下った場所に案内していただきました。また、午前9時以降の入山は遭難の危険性が高まるためお控えください。