家族で夏のレジャーに出かけるのなら、蒸し暑さを避けられる高原リゾートがぴったり。特に夏のスキー場は、緑あふれる自然と清涼な風を感じることができる快適な環境だ。近年のスキー場は、グリーンシーズンと呼ばれる夏の営業期間でも多種多様なレジャーが楽しめる観光地として進化している。
そんな“今どきの夏のスキー場”にはどんな楽しさがあるのか、ウィンターシーズンはスノーリゾート情報、グリーンシーズンは高原リゾート情報を提供するメディア『ハピスノ』編集長の竹川紀人さんに教えていただいた。
■夏でも涼しく設備も充実
――竹川さんが夏のスキー場がおすすめだとする理由はどんなところですか?
竹川さん:夏のスキー場のいいところは、やっぱり涼しいこと。スキー場は基本的に高原など標高が高い場所にあることが多く、自然にも恵まれているので、都心部よりも気温が低く快適です。
――わぁ、夏でも涼しいのはいいですね。
竹川さん:リフトやゴンドラを利用して手軽に高い場所まで上がれますし、蒸し蒸ししていない湿度の少ない環境で過ごせます。高原は空気がひんやりしていて、子どもが屋外で元気に遊べることが魅力ですね。
――スキー場ならではの利点はあるのでしょうか。
竹川さん:センターハウスなど、もともと冬に利用している施設があり、設備が充実しているところがメリットです。例えば、夏にキャンプ場を営業しているスキー場が増えていますが、野趣あふれるキャンプ場と違ってトイレや洗面所が清潔だったり、すぐそばにホテルがあったりするのでいろいろと安心でしょう。ほかにもレストランや温泉施設、屋内プールなど、スキー場ごとにさまざまな施設があるので、キャンプに慣れていない人はこうした環境が整ったところのほうがチャレンジしやすいと思います。
――なるほど、自然が豊富だけど利便性が高いですね。
竹川さん:そうなんです。だからスキー場は「夏こそ行きたいレジャー施設」と言えるんです。
■どんな遊びができる?
――では、夏のスキー場に行ってどんな過ごし方をするのでしょうか。
竹川さん:以前は、ゲレンデを花畑にしているスキー場が多かったのですが、近年は自然豊かな環境を生かし、抜群の眺望を楽しめるテラスが増えている傾向があります。新緑や紅葉、雪景色など四季折々の自然、ときには雲海なども見られるテラスは絶好のビュースポットです。
――テラスが人気という情報はよく見聞きします。
竹川さん:でも最近のスキー場はそれだけではなく、より多様なレジャー施設が拡充しているんです。
――そうなんですか。どんなレジャー施設があるんですか?
竹川さん:夏のゲレンデを生かし、キャンプ場やグランピング施設が続々と誕生しています。ほかには、ロープに吊られて滑空したり、木の上を歩いたり、そんなアスレチックのような体験ができるジップライン系も人気。自然を身近に感じながら楽しめる、さまざまなアクティビティが人気を博しているんです。
――そして、先ほどおっしゃったように便利な設備が使えたりするわけですね。
竹川さん:そう、過ごしやすいんです。ほかにもゲレンデを利用して、カートやボブスレーなど動力のない乗り物を楽しめるアクティビティが楽しめたりします。もちろん、スキー場ですから夏でも滑れる「サマーゲレンデ」をオープンしているところもあります。滑走性の良い専用の人工マットを敷き詰めてコースにしてあるんです。
――レジャーの種類が想像していた以上に多いですね。
竹川さん:最近の夏のスキー場は、子どもから大人まで楽しめるレジャー施設が本当にいろいろあって「高原の遊園地」といってもいいぐらいです。
――では、具体的にどのスキー場でどんなレジャーを体験できるのか教えていただけますか?
竹川さん:スキー場ごとに本当に多種多様なレジャーを楽しめますが、特徴的なアクティビティが人気のスキー場を10か所セレクトしますね。家族で夏に出かける旅行先として、ぜひ参考にしてみてください。
■絶叫アトラクションが爽快な「草津温泉スキー場」【群馬県】
日本三大名泉のひとつとして知られる群馬県の草津温泉。その温泉街のすぐ近くに位置するのが草津温泉スキー場だ。このスキー場の名物アトラクションは、空中に架かるワイヤーロープで滑空する「バンジップテング」。標高1,370mの天狗山山頂から眼下の草津温泉街や、遠くの山並みを眺めながら滑空するのが気分爽快。また、山頂エリアでは新しいアクティビティとして高さ10mととってもスリリングなブランコも体験できる。
2023年12月からは「パルスゴンドラ天狗」が運行をスタートし、天狗山の頂上までスムーズに移動できるようになった。ゴンドラと同時オープンした展望レストラン「クリスタル天(そら)」では、景色を眺めながら築地や豊洲から直送した新鮮なネタによる寿司を味わうことができる。
ほかにもリゾート内のあちこちに、マウンテンカートやトランポリンなどさまざまな遊具が点在している。
■「ノルンみなかみフラワーガーデン」は、昆虫展や宝石探しも楽しめる!? 【群馬県】
「ノルンみなかみスキー場」のグリーンシーズンは、「ノルンみなかみフラワーガーデン」として営業中。冬にゲレンデとして利用されているフィールドいっぱいに花畑が広がっている。春はスイセン、初夏からピンクのアナベルや鮮やかな黄色のひまわりなど、時期ごとに咲くさまざまな花に癒されながら園内をのんびり散策できる。
「宝石探しと昆虫展」も開催し、昆虫の標本やジオラマのほか、マイクロスコープを使って昆虫標本などを観察できる体験が子どもに人気。一方、宝石探しは、オアシスと呼ばれる水の中から天然石を探すというもの。アメジストや水晶、ローズクォーツなど約30種類が水中に隠されており、ママさんのほうが夢中になることもあるのだとか。ほかにも化石の発掘や迷路を探検するなど子どもの好奇心を刺激するさまざまな施設が揃っている。
また、この施設は関越道・水上ICからわずか3kmの距離。関東圏からのアクセスが抜群にいいこともメリットだ。