厳しい寒さも和らぎ、外遊びに適した季節がやってきた。家族旅行や友人との行楽先として、登山を計画している方も多いことだろう。とはいえ、体力に自信のない人や、小さな子ども連れのファミリーには、登山はハードルが高く感じてしまうこともあるかもしれない。 

 そこで本稿では、ロープウェイを利用して山頂の景色が楽しめるうえに、山頂の由緒ある神社にお参りまでできてハイキング気分を味わえてしまう、登山コースを関東から3つ紹介する。

■箱根駒ヶ岳(神奈川県足柄下郡箱根町) 箱根外輪山(がいりんざん)の主峰から芦ノ湖と富士山を望む

 箱根のシンボルとも言うべき箱根駒ヶ岳(はこねこまがたけ)は、神奈川県足柄下郡(あしがらしもぐん)箱根町に位置し、その標高は1,356m。箱根外輪山の中では、神山(かみやま)の1,437mに次ぐ二番目である。​​

 登山口の標高は844m。山頂とは約500mの標高差があるが、ロープウェイなら山頂駅までわずか7分だ。箱根駒ヶ岳の山頂一帯は草原が広がり、「ロープウェイ山頂駅」から、その頂きが確認できる。山頂までの道のりは整備された階段が中心で「ロープウェイ山頂駅」からおよそ10分で登頂できる。

 山頂に隣接する「天空の社殿」と呼ばれるパワースポット「箱根元宮(はこねもとのみや)」を参拝したら、周囲の景色を見て回ろう。芦ノ湖と富士山が一望でき、遠く相模湾が広がる光景は、登山口からわずか10分で来られるとは思えないほどの絶景、一見の価値ありだ。

 参拝者の証となる御朱印は、神職の方がいる土・日・祝日と月次祭(つきなみさい)の日のみ。なお、月次祭とは毎月1日、13日、15日、24日。ちなみに、神職が不在の際は、ロープウェイで下山後、車で7分ほどの「箱根神社」で御朱印をいただける。

箱根駒ヶ岳から、眼下に広がる芦ノ湖を望む
「箱根神社」参拝の御朱印

●【MAP】箱根園・箱根ロープウェイ乗り場

 

■久能山(静岡県静岡市) 全国東照宮の先駆け! 極彩色の本殿は必見

 久能山(くのうざん)は、静岡市駿河区にある標高270mの山で「久能山東照宮」があることで知られる。「久能山東照宮」は、久能山の中腹、標高151m地点に位置し、煌びやかな極彩色の本殿は、当時の建築技術の粋を集めた様式で、静岡県で初めての国宝建造物に指定されている。その美しさは、日光をはじめとする全国の東照宮に色濃く受け継がれている。

 近年では、年間50万人超の参拝者を迎える「久能山東照宮」。参拝者用の表参道は久能海岸側に設けられているが、つづら折りの階段が続くため、体力に自信のある人以外は日本平(にほんだいら)のロープウェイを利用しよう。全長1,065mの日本平と久能山東照宮を結ぶロープウェイで、駿河湾の眺めを楽しむ5分間の空中散歩だ。

 東照宮本殿は山頂手前に位置しており、石畳の道が整備されているので、山頂まで行かずとも、楼門(ろうもん)や神厩(しんきゅう)、鼓楼(ころう)など数多くの美しい重要文化財を見て回ることができる。ロープウェイ下車後、東照宮までは約10分。久能山山頂まで足を延ばすならさらに10分だ。

 なお御朱印は、拝観料を支払う社務所で受け付けているので、行きに御朱印を申し込み、帰りに受け取るのが、時間のロスがなくおすすめ。

 日本平ロープウェイまでは、東名高速道路・清水ICより20分ほど、公共交通機関の移動ならば、静岡駅から「しずてつシャトルラインバス」で約30分。東照宮参拝のあとは、併設の博物館で文化財の見学も楽しい。関ヶ原の戦いで使用した甲冑をはじめ、歴代将軍の関連品が展示されている。

重厚な門をくぐると、広大な駿河湾が広がっている
当時の建築技術を結集した極彩色の本殿は圧巻だ
久能山東照宮の御朱印          

●【MAP】日本平ロープウェイ