■避難生活に役に立つキャンプ用品

 自治体では避難所の様子を聞くこともできた。職員の方がお話されていたのは、調理場のない避難所では弁当しか出せず、温かいものや野菜たっぷりのおかずが求められ、ボランティア団体には炊き出しのニーズが多いということだった。

 こうした状況ではキャンプ用の調理器具が役に立つはずだ。材料の確保の問題はあるが、食材があれば温かく、体調に合わせた料理を自炊することができる。

キャンプ用調理具を使って避難中の食生活も充実させたい(イメージ)

 また、地震から1か月経ったこの時点でも断水が続いている地域が多かったが、水の確保にはキャンプ用の水タンクが役立てられる。当然、トイレにも水が流れないので、登山用の携帯トイレは一時的にしのぐのに使える。

 電力は我々が現地入りする数日前に半島全域で復旧していた。それまでの停電中はランタンやろうそく、ヘッドランプの灯りが重宝したのではないだろうか。

停電中はランタンの灯りも頼りになる(イメージ)

 また避難所はプライベートがなく、顔なじみが周りにおらず、心身に不調を来す人もいるという。そのため農業用ビニールハウスに集まって避難生活をする人もいて、そうした中には避難所として配給先に認められたケースもあるそうだ。そうなるとキャンプ仲間で集まってのテント生活も選択肢に入れておきたくなる。

避難生活にはテントを役立てることもできる。ブルーシートはタープになる(イメージ)

■「ぜひ金沢に遊びに来てください」

 支援活動と視察を終え、金沢市に戻った時には水道から水の出るありがたさが身に染みてわかった。人間が自然と共に暮らしたのは遠い昔のことで、今は都市機能がないと生きていけないのだ。だからこそたまのキャンプや登山に価値がある。

 能登半島の復興はまだまだ先が長そうだが、金沢市は平穏な日常をだいぶ取り戻してきているようだった。それをふまえて、今回現地を案内して下さった協力者(普段は観光関連のお仕事をされている方)の次の言葉で本稿を閉じたい。

 「金沢には兼六園やひがし茶屋街など魅力がいっぱいあり、今でも元気です。ぜひ遊びに来て、石川県全体の復興の後押しをしてください」

加賀百万石の文化を映す「兼六園」
古い街並みに風情がある「ひがし茶屋街」