ここ20年で大きく進化したアウトドア道具といえば、「LEDライト」と「浄水器」でしょう。以前は水を浄水するには煮沸したり、塩素錠剤で消毒するのが一般的でしたが、セラミックを使った濾過方法やUV消毒を経て、近年はボトルを握るだけで中空糸膜フィルターが微生物やバクテリアを99.9%以上除去してくれる製品も登場しています。結果、持ち歩くのにも苦にならないほど、軽量コンパクトなギアになりました。

 手軽な大きさになったのに伴い、沢が豊富な日本の山で自然水を安全に飲めるという理由から、登山者やキャンパーの間でコンパクトな浄水器が急速に広まってきています。アウトドア活動だけでなく、防災備蓄用品としても備えておきたいギアです。今回は、いくつかタイプ別に紹介してみます。

■新旧の定番対決「MSR ミニワークスEX」と「ソーヤーミニ」

ここ10年ほどで、ここまで大きさが変化した。このサイズだったら楽に持ち運べる

 まず大定番の「MSR ミニワークスEX」。こちらは私が20年近く前から使っているポンプ型浄水器で、登山の定番水筒である1ℓサイズのナルゲンボトルに取り付けることもできます。すべてを合わせると、重量は500gほどです。

大型レバーで水をセラミックフィルターに流し込む。セラミックフィルターはヤスリがけでメンテナンス可能

 対して、近年の定番浄水器の代表格「ソーヤーミニ」は、付属のソフト水筒と合わせても60gほどと、とても軽量でコンパクトに収納できます。2つのサイズと重さを比べると雲泥の差です。

付属のソフト水筒に沢水などを入れ押すだけで浄水された水が出てきます

 続いて、それぞれの濾過方法を比べてみましょう。

 MSR ミニワークスEXは、手動ポンプで圧力を掛けてセラミックフィルターで濾過するタイプ。フィルターが汚れて浄水能力が落ちた時は、紙やすりでセラミックを削って機能を復活させることができます。

 カタログ値では0.2ミクロンのフィルター精度で、カートリッジの寿命は2000ℓ。なお、フィルター寿命は水の汚れ具合で大きく変動します(以下同)。

ソーヤーミニは口が小さく水が汲みにくい。水量が少ない場所では苦労する

 一方、中空糸膜フィルターを採用したソーヤーミニは、付属のソフト水筒に汚れた水を入れ、水筒を握るだけで濾過された水が抽出されます。またフィルターが汚れた時は、付属の注射器のようなポンプで逆側から圧力を掛けた水を送るだけで、ある程度の汚れを除去できる優れた浄水器です。

 カタログ値では0.1ミクロンのフィルター精度で、カートリッジの寿命はなんと38万ℓ!! 難点はペットボトルサイズの口なので、浅瀬では水が入れにくいことです。