■旅する3人が推す札幌の魅力
札幌は人口約200万人という大都市にも関わらず、年平均6mの積雪量がある。そんな街は世界的にみても稀有な存在だ。街中の多くは雪に覆われるが、ネオンに照らされた雪の街は非日常的な空間で、ワクワクする場所だ。ビル群の先には雪山が見え、陽が落ちれば、街の明かりとナイターで山や空が明るくなり、街と山との距離の近さをより感じさせてくれる。
周囲には6か所のスキー場が点在し、11月から5月まで半年以上にわたって天然雪で滑れる。その半数以上が市街地から60分以内にアクセスできるのだ。
一見、北海道、札幌へのトリップは敷居が高い印象があるかもしれないが、冬は観光閑散期にあたるため、航空券とホテル代込で安価なプランも多く出ている。この機会に札幌へ出かける前に、まずは、世界を旅する3人の達人に札幌の魅力を聞いてみよう。
■Neil Hartmann(ニール・ハートマン)
1972年アメリカ出身。HTBの人気テレビ番組「NoMatterBoard」や「X-Trail JAM」のMC、雑誌へ寄稿する写真家、撮影から編集までを行ったスノーボードムービー「カーダンチ」などマルチに活動。現在は定山渓温泉でソフトクリームショップも営んでいる
●除雪が優れているから、近郊リゾートへのアクセスも楽
札幌は山が近いことがいいですね。市内から6つのスキー場へアクセスでき、バックカントリーへのアクセスポイントも無数にあります。 スキーの後は街に戻って、最高のグルメとエンターテイメントが楽しめます。 これは世界的にみてもとても稀で素晴らしい組み合わせでしょう。
札幌は世界の大都市で最も雪が多い都市の一つですが、道路除雪整備の技術がとても優れています。 そのおかげで、札幌近郊のリゾート地へも道路事情を気にすることなくアクセスできるのです。200万人近い市民が暮らす大都会が深い雪に覆われた夜景は圧巻です。定番は藻岩山の頂上ですが、札幌の中心部にあるJRタワー28階の展望台もオススメです。
■児玉 毅(Takeshi Kodama)
1974年札幌市出身。2005年にはエベレストに登頂。デナリ山頂からの滑降をはじめ、世界各地を遠征。写真家佐藤圭とのプロジェクト「地球を滑る旅」をライフワークにするプロスキーヤー
●藻岩山スキー場のナイターで札幌の夜景を体感
札幌は冬を楽しめるイベントが充実しています。札幌雪まつりは毎年グレードアップしているし、ほかにも雪を楽しむ催しを多数開催している滝野すずらん丘陵公園など、雪に恵まれた冬が体感できます。個性豊かなスキー場が街から近いのもいいですね。滞在しながらスキーをしたり観光やショッピングを楽しんだりと、都市型スキーが楽しめます。
それから、1日で冬のグランドスラム(スキー→温泉→グルメ→夜の歓楽街)が札幌市内ステイならできてしまいます。とくに道産食材を生かした絶品グルメは札幌の大きな魅力です。日本新三大夜景にも選ばれた札幌の夜景に飛び込むように滑れる藻岩山のナイタースキーはいつ行っても感動します。ロープウェイで上がって眺望だけを楽しむこともできますが、滑れる人は全身で札幌の夜景を体感して欲しいです。
■中村 陽子(Yoko Nakamura)
1981年北海道北斗市出身。24歳でプロライダーとなり、2013年にアラスカで開催されたフリーライドのイベントで優勝。国内外で精力的に撮影トリップにでかける
●時期が長く滑れて食文化も豊か過ぎる
人口約200万人が暮らす大都市なのに、1時間圏内で海にも山にもいける。これほどまでに自然に囲まれた都市は世界的にみても珍しいです。とくに冬は、街も雪に覆われ、12月からゴールデンウィークまで長い期間に渡って天然雪が楽しめます。また、暖かくなった春にテラスで食べるジンギスカンも北海道らしくて最高です。
北海道は食料自給率が200%を超えるほど食べ物が豊富です。農産物や海産物、乳製品といった美味しい食材が、道内の各地から北海道の中心である札幌に集まり、その素材を生かした美味しいお店が数え切れないほどあります。山と街を高い次元で同時に楽しめるのは、札幌以外には考えられないのではないでしょうか。