新しい年を迎え、自分なりの目標を立てたり、山行の予定を決めたりするハイカーも多いのではないだろうか。2024年がスタートした今、2022年8月に登山を始め、2023年には1年間で150の山頂を踏んだ筆者が、個人的に登ってよかったと感じる「九州北部地方の山」ベスト5をランキング形式で紹介したい。

 選定理由の基準は、登山をはじめて約1年半の初心者である筆者でも登りやすい登山道であること、登った時の達成感、山頂からの景色のよさを順位に反映した。2024年の登山プランを考える際や、九州の山を登る参考になれば幸いだ。

■登って良かった山 5位:宝満山

宝満山山頂から望む福岡の景色
初心者には辛い宝満山の「百段ガンギ」

 宝満山(ほうまんざん)は、福岡で登山の話題になると必ず名前があがる山だ。宝満山の標高は829mで、麓にある竈門神社(かまどじんじゃ)から登り出すのが一般的だ。このルートは「百段ガンギ」と呼ばれる長い階段が印象的だ。

 山頂には竈門神社の上宮があり、福岡市内を一望することができる。山頂からの景色に加え、麓には九州では数少ないテント場があり、登山道のルートが分かりやすいことから、初心者も安心して登れるのもよい。コースタイムも4時間と比較的短いため、子どもや家族連れでも日帰りで挑戦しやすい山といえるだろう。

 福岡市内に住んでいる筆者は、天候を見ながら行きたい時にすぐ登りに行けるため、登山当日の天候が常に恵まれたことが、宝満山のイメージのよさに影響しているだろう。反面、先に述べた百段ガンギは初心者にとっては、登山というより修行のような辛さがあるため5位とした。

●【MAP】宝満山登山口

アクセス:JR太宰府駅から内山行きのバスに乗車して8分

■登って良かった山 4位:阿蘇山

根子岳山頂に着くも、天候に恵まれない

 熊本県にある日本百名山の阿蘇山(あそざん)だが、実際には「阿蘇山」という山はなく、根子岳(ねこだけ)、高岳(たかだけ)、中岳(なかだけ)、烏帽子岳(えぼしだけ)、杵島岳(きしまだけ)の阿蘇五岳を指すのが一般的だ。

 筆者は2023年に、このうち烏帽子岳以外の全ての山を数回にわけて登った。登山道は整備されており、道迷いや滑落などの危険性は比較的低いため、初心者にも歩きやすい。道中はどの山もカルデラ特有の荒々しい地形の景色を楽しめ、高岳・中岳からは噴火口も見られる。阿蘇地方のカルデラ(東西約17km、南北約25km、面積約350キロ平方メートル)は世界最大級の大きさとも言われており、ダイナミックな自然を間近で感じることができるのも魅力だ。

 4位とした理由は何度も訪れたが、そのいずれも天気がよくなかったこと。阿蘇岳のある熊本は、東シナ海から暖かく湿った空気が流れ込むため、大雨や集中豪雨が発生しやすい地域ということもあり、天気が安定しなかったことで順位を落とした。

●【MAP】阿蘇山上ターミナル

アクセス:JR阿蘇駅前からバスに乗車して阿蘇山上ターミナルまで35分

■登って良かった山 3位:立石山

立石山からは玄界灘の海を一望できる

 福岡県糸島市にある初心者にも人気の高い立石山(たていしやま)。標高わずか210mの低山で、子どもも登れるほど小さな山だが、山頂付近から糸島方面に延びる海の絶景を見ることができる。玄界灘の青い海と、街や自然のコントラストを一望できるのは特別な爽快感がある。

 登山口がある糸島市には、桜井二見ヶ浦(さくらいふたみがうら)の夫婦岩(めおといわ)や、国の天然記念物に指定される芥屋の大門(けやのおおと)など、下山後に楽しめる観光スポットが多いのもおすすめの理由だ。

 標高が低く、山行時間も往復1時間未満と短い。初心者にも登りやすいが、何度か登山を経験すると少々物足りなく感じたため3位に留まった。

●【MAP】立石山登山口

アクセス:JR筑前前原駅から芥屋行きのバスに乗車、芥屋で下車後徒歩で38分