2024年になり、早くも1か月が過ぎようとしている。あちこちで冬本番を迎え、暖冬とはいえ山々は雪化粧されてきている。雪のない山は限られているが、今回は都心からアクセスの良い「湘南妙義」と名のつく鷹取山(たかとりやま)を紹介したい。

■神奈川県・湘南エリアにある「妙義山」!

 紹介する鷹取山は神奈川県横須賀市と逗子市にまたがる標高139mの山で、かつては石材の採掘が盛んだった場所であるが、関東大震災を境にコンクリートが一般化されたことで石材の採取は衰退、その名残として切り立った岩山がいくつもある。

 鷹取山は別名「湘南妙義(しょうなんみょうぎ)」と呼ばれており、切り出した岩山の容姿が群馬県の名峰・妙義山(みょうぎさん)に似ていることからそう呼ばれるようになった。妙義山は群馬県にそびえる山で、急峻なピークがいくつもあるのが特徴だ。

 その岩山の多さから鷹取山はクライミング愛好家からも人気を集めている。鷹取山では、鷹取山安全登山協議会に登録した人のみがクライミングを行える。

切り立った岩山ではクライミングを楽しむ人で賑わう。崖の上に見えるのが山頂の展望台

■東京駅から電車で1時間15分! 東逗子駅から神武寺を経て山頂へ

 紹介するハイキングルートの起点となるのが、JR横須賀線・東逗子駅だ。東京駅から1時間15分ほどで到着し、乗り換えもなくアクセスが良い。東逗子駅から市街地を通り、まずは神武寺(じんむじ)を目指す。

東逗子駅から5分ほどで登山口となる神武寺の入口に到着する

 登山口に到着すると「リス」が出迎えてくれた。まだ民家のある場所だったが、何匹ものリスが駆け回り、かわいい姿を見せてくれた。どうにかカメラに収めたくてファインダーを向けたが、あまりの素早さにその姿を捉えることはできなかった。街から近い場所ではあるが、自然豊かなエリアであることを認識させられた。

 登山口からおよそ20分で神武寺に到着する。神武寺は奈良時代・神亀元年(724年)に創建され、その特徴的とも言える楼門(ろうもん)は江戸時代・宝暦11年(1761年)に建てられたもの。

神武寺の楼門。森の中にある圧倒的なスケール感だ

 神武寺には見どころがもうひとつ、本堂に到着する前にある「晩鐘」だ。立派な晩鐘で、「逗子八景」のひとつに選ばれている。

「逗子八景」のひとつにも選ばれている神武寺の晩鐘。鳴らすのは禁止

 神武寺を過ぎると、短い区間ではあるが勾配の急な区間がある。石畳が敷かれているが、急なのでつま先立ちで階段を上がるように登ろう。

5分もあれば登り切ることができるが何せ急なので息が上がる

 登り切ったところから起伏は緩やかになり、樹々の切れ間から眺望を楽しめるようになる。ずっと樹林帯を歩いてきたが、山頂直下までくると一気にあたりが開け、切り立った岩が現れる。この大岩を巻くように最後の登りを歩くと山頂の展望台に到着する。

いきなり出現する大きな岩山に思わず圧倒される。岩山の向こうにちょっとだけ見えるのが山頂の展望台