長野県の白馬エリアに位置するエイブル白馬五竜では、6月から10月にかけて「白馬五竜高山植物園」がオープン。山麓から8人乗りのゴンドラ「五竜テレキャビン」で標高1,515mのアルプス平まで上がると、斜面一面に高山植物園が広がっている。園内をめぐりながら季節ごとの花を観賞でき、秋は紅葉も一緒に楽しめることが魅力だ。

■季節ごとの花が美しい

コマクサは高山植物の代表格。山岳エリアまで登山に行かずとも、植物園で見られるのがうれしい

 

 山麓に広がるエスカルガーデンは園芸品種などの花が咲き、このあたりを散策するだけでも十分楽しいが、五竜テレキャビンで山を上がると標高1,515mという高所ならではの高山植物を見ることができる。植物園がオープンする6月は、チングルマやシラネアオイ、白馬の山岳エリアに生息するウルップソウなどが見頃を迎える。

 見どころは、高山植物の女王と呼ばれるコマクサの群生だ。コマクサが生息しやすい高山帯の砂礫地を再現し、約12万株もの花が生育されている。8月の夏近くまで可憐なピンクの花が目を楽しませ、どきどき白い花をつけるコマクサの変異種を目にする機会もある。

■海外の珍しい植物を観賞できる

スイスアルプスエリアに咲くエーデルワイス。スイスを代表する可憐な白い花だ

 初夏の植物園はオレンジ色のニッコウキスゲや、小さなピンクの花をつけるシモツケソウのような色味のくっきりした高山植物が目立つ。海外の珍しい花も見ることができ、ヒマラヤエリアでは、標高4,000m級の山岳に自生するという「ヒマラヤの青いケシ」の人気が高い。幻の花といわれる希少な品種で、大ぶりの青い花は目の覚めるような美しさだ。

 また、スイスアルプスエリアでは、エーデルワイス、アルペンローゼ、ゲンチアナ・ディナリカといった、“スイス三大名花”を見ることができる。見慣れない色や形をした海外の高山植物を、説明文とともに見て楽しめるのがおもしろい。

■秋ならではの植物観賞も楽しい

秋の気配が訪れた植物園で鮮やかな紫色の花をつけるオヤマリンドウ

 9月や10月になっても、植物園ではたくさんの花を楽しめる。秋に見られるのは、コオニユリ、ワレモコウ、ノコンギグ、マツムシソウ、オヤマリンドウなどの花。

 また、秋の植物園の楽しみは、花だけではない。例えば、チングルマの花の盛りは初春だが、花の後に現われる綿毛も魅力的なのだ。車輪や風車のように見える綿毛が群生し、秋は葉や茎が赤く紅葉して草紅葉をつくりだす。夏に鮮やかなピンクの群生をつくるヤナギランも、秋になると綿毛をつける。クロマメノキやシラタマノキが、ころんとした紫や白の実をつける姿も秋だからこそ見られる光景だ。