いよいよ迫る夏山シーズン。人々の憧れの的となるのは北アルプスの山々である。特に急峻な峰々に囲まれ、本格的な登山を楽しむことができる北アルプスは、槍ヶ岳や剱岳、穂高連峰など誰もが耳にしたことがある山々だ。一度も訪れたことがない人であれば「いつか行ってみたい」と憧れを抱くのではないだろうか。

 筆者がそんな北アルプスへ初めて訪れたのは、数年前の8月初旬に涸沢カールを目指したときだった。

多くの登山客が利用する涸沢ヒュッテ(撮影:彩)

 そもそも涸沢カールとは、長野県松本市安曇にある日本最大規模の氷河圏谷(カール)である。涸沢カールでは夏でも雪渓が残っていることに加え、秋には素晴らしい紅葉を楽しむことができる。

 そんな涸沢カールを目指した道中、また涸沢カールで過ごした一夜はどこを切り取っても非日常の体験で、忘れられない経験になった。初めての北アルプスデビューが涸沢カールで良かったなあと心底思った。

 今回は北アルプスデビューに涸沢カールをおすすめする理由とルート紹介、筆者が実際に1泊2日のテント泊登山を行った際の登山レポを書き記したい。

■筆者が初めてのアルプス登山で涸沢カールをおすすめする理由

●その1

 景勝地として名高い上高地のきれいな木々や川に癒やされ、なおかつ、河童橋付近には観光客用の店が沢山あるのでお土産に困らない。

●その2

 横尾から涸沢カールまではしっかりとした登山になるが、日頃山登りしている人であれば問題なく辿り着け、アルプス登山の中では難易度が低い。

●その3

 涸沢ヒュッテの名物のおでんを食べ、ビールを飲みながら眺める涸沢カール、穂高連峰が圧巻。

●その4

 条件が良ければ素晴らしいモルゲンロート(ドイツ語で朝焼けの意)が見られる。

●その5

 夜はテント場に設営された数多くのテントに明かりが灯り、とても美しい景観となる。

日本屈指の景勝地である上高地(撮影:彩)

■上高地バスターミナルから涸沢カールへのルート概要

 涸沢カールへのアクセスは、河童橋から横尾までは多少のアップダウンはあるが歩きやすいハイキングコースを3時間ほど歩く。このあとは高低差もある登山道を3時間ほど登っていけば、涸沢に到着する。

ザックを下ろし定期的に休憩をはさむ(撮影:彩)

●2泊3日の場合

 1日目:上高地バスターミナル(標高約1,500m)から横尾(標高約1,620m)→2日目:横尾から涸沢ヒュッテ(標高約2,300m)→3日目:涸沢ヒュッテから上高地バスターミナル

●1泊2日の場合

 1日目:上高地バスターミナルから涸沢ヒュッテ→2日目:涸沢ヒュッテから上高地バスターミナル