■意外と短い紅葉期見頃を狙って各地へ

 秋登山の一番の目的といえば鮮やかに色付く紅葉を鑑賞することだ。岩壁に映える赤や黄色のコントラスト、山上から見下ろす紅葉の絨毯。そして、太陽に透過される真っ赤なモミジ。期間限定でしか見られない秋景色の数々は、この時期の登山の醍醐味と言っていいだろう。

 秋山の期間としては9月から11月まで。3ヵ月もあるのだから、なんて思ってはいないだろうか。トータルでシーズンを見ると長いようだが、エリアごとに考えれば紅葉の見頃は1〜2週間しかなく、あっという間に過ぎていく。それぞれの場所によって標高や気候が異なるので、紅葉の時期も分散する。9月から11月中旬までの間、まんべんなく紅葉を満喫できるよう複数エリアで様々な特性の山をピックアップした。レベルや環境に合わせて、行きやすい山を選んで登ってみよう。

■岩稜帯と紅葉のコントラストが映える日本アルプス

 3,000m峰が連なる日本アルプスは山頂部にゴツゴツとした岩を纏う山脈。荒涼とした風景と彩り鮮やかな紅葉の共演は、他のエリアでは見られない美しい光景だ。

■紅葉ルート1.【涸沢(からさわ)】(北アルプス)

[山行ナビ]
1泊2日
上高地-涸沢(泊)-上高地
歩行時間
1日目:6時間/2日目:5時間30分
技術 ★★☆☆☆ | 体力 ★★★☆☆
紅葉の見ごろ:9月下旬~10月初旬

●山岳紅葉の代名詞、涸沢カールを見上げにいく

 紅葉の山といえば「涸沢カール」だろう。かつてこの地を覆っていた氷河によって作られたすり鉢状のカール地形内には、真っ赤なナナカマドや黄色いダケカンバをはじめとする紅葉と穂高連峰の岩壁の白、そして澄み渡る青い空と、完璧な山岳紅葉のコンビネーションが見られる。涸沢へは到着するだけでも一日は見ておきたい。

 上高地から横尾まではおよそ3時間の平坦な道。1時間ごとに明神館、徳沢など休憩ポイントがあるので、休みながら歩こう。横尾を過ぎると本格的な登山道になり、大きな岩が転がるガレ場を歩く。沢筋の道は黄葉が美しく3時間ほど進めば涸沢に到着だ。ハイシーズンの休日は混雑するので、平日の2日間を歩くと良い。

涸沢のテント場からすぐ上を見ればご覧のような絶景だ。正面には涸沢岳が見える
宿泊に利用できる涸沢小屋。紅葉を引き立てる絶好の被写体にもなっている

●MAP