●涸沢ヒュッテへ到着!

 やっとの思いで涸沢カールに到着。お父さんに連れられた小学生低学年くらいの子とすれ違い、こんなに小さいのにここまで登ってきて凄いなあ、と感心した。

 涸沢ヒュッテで宿泊する場合は、2023年6月現在では完全予約制になっているため注意が必要。小屋泊の場合は必ず事前に公式HPを確認のうえ、早めに予約をしておこう。

 テント泊経験者であればテントを担いで登っても良いだろう。このテント場は当日の先着順となっており、予約不可だ。

雄大な雪渓を前にテントを張る(撮影:彩)

 涸沢カールの見どころと名物はいくつもある。まず何と言っても日本有数のカールである涸沢カールは広大で、初めて見る夏の雪渓に感動した。

涸沢カールを中継地点として北穂高岳や奥穂高岳にアクセスできる(撮影:彩)

 また、涸沢カールを形作っている穂高連峰は荘厳そのもの。遠くに見える北穂高岳や奥穂高岳に挑もうとしている登山者の姿に尊敬の念を抱いた。ちなみにこの穂高連峰の中に涸沢岳(からさわだけ)のピークがあり、北穂高岳と奥穂高岳の中間に位置する。

涸沢岳の山頂付近から見下ろした涸沢カール(撮影:彩)

 到着して一息ついたら、周りの雄大な景色を眺めながら涸沢ヒュッテ名物のおでんを注文し、ビールを飲むのが定番。登山靴から開放され、身も心も解き放って過ごす時間は別格だ。

涸沢ヒュッテの名物であるおでんとビール(撮影:彩)

 その景観の良さ、アクセスの良さで目的地にも中継地点にもなる涸沢は、多くの登山客で賑わう。そのため張られるテントの数も多く、設営された色とりどりのテントがある景色を楽しめる。夜になるとそれぞれのテントに明かりが灯るので、そのカラフルさに目を見張る。

色とりどりのテントが随所に張られ美しい(撮影:彩)

 また、運が良ければ朝に素晴らしいモルゲンロートが見られるかもしれない。この日初めての日本アルプス登山だった筆者は、早くに起床していた同行者に起こされ目をこすりながら外へ出た。その時に初めてみたモルゲンロートは余りにも美しく、またものの数分で晴れた青空へと様変わりしてしまった一瞬の奇跡に心を奪われた。筆者が登山を愛するようになったのは、この真っ赤なモルゲンロートを見たせいかもしれない。