■トレッキングポール2本使いで、兵庫県三田市の羽束山縦走

 さて、トレッキングポールのうんちくを述べた後は実践だ。

トレッキングポールは2本使いがおすすめ(撮影:野口宣存)
羽束山略図(画:野口宣存)

 やってきたのは兵庫県三田市、標高524mの羽束山(はつかやま)。この山は、標高430mの甚五郎山(じんごろうやま)、標高500.4mの宰相ヶ岳(さいしょうがたけ)と合わせて三連山となっている。ここは南北朝時代から室町時代にかけて、香下寺(こうげじ)城があったとされる城跡。下から見てもわかる急傾斜の山容で、トレッキングポールをテスト使用するにはちょうどよいだろう。

羽束山、甚五郎山、宰相ヶ岳をふもとから見上げる(撮影:野口宣存)

 羽束山は、登山口からいきなり急登である。登り始めてすぐに歴史を感じる古い石段に変わるが、やはり急登である。しかしトレッキングポールを2本使うと、推進力が加わり、かなり楽だ。

羽束山の歴史を感じる石段(撮影:野口宣存)
羽束山の六丁峠のお地蔵様。甚五郎山へはすぐだが今回は行かなかった(撮影:野口宣存)

 登り始めてから約400m、20分程度で標高409.2mの六丁峠に至る。ここから数十mの緩やかな道の後は、標高524mの羽束山山頂まで、再び急な登り坂だ。

羽束山山頂の神社。このあたりが香下寺城の中心部だったようだ(撮影:野口宣存)
羽束山山頂にある立派な堂宇。横に宰相ヶ岳への縦走路入口がある(撮影:野口宣存)

 次に、宰相ヶ岳へ向かうには、一旦、“コル”と呼ばれるピークとピークの間の鞍部に下りなければならない。崖のような傾斜についているつづら折りの登山道を下るのだが、ここでもトレッキングポールは大活躍。下り坂で歩行速度をコントロールするには、膝の負担は大変大きい。これにトレッキングポールを使うことで、力を分散できるのである。

羽束山と宰相ヶ岳の間のコル(撮影:野口宣存)
宰相ヶ岳山頂から正面に見えるのは標高653.1mの大船山(おおふなやま)(撮影:野口宣存)

 標高413mのコルまで下ると、再び急な登り坂だ。石段はないが、足場は悪い。標高500.4mの宰相ヶ岳から香下寺までは、これまた急な下り。しかしトレッキングポールのおかげで、膝も痛くならずに下山できたのである。