■和テイストの竹中罐詰

竹中罐詰「天の橋立オイルサーディン」

 キングオスカーに真っ向勝負を挑むのは、竹中罐詰(缶は旧字)の「天の橋立オイルサーディン」であります。京都の丹後地域の、日本三景「天の橋立」の近くに本社工場を構える同社は、ほとんどの工程を手作業で行っている。ゆえに大量生産が行えないため、大手スーパーに並ぶことはあまりない。

 それでも、竹中罐詰のオイルサーディンの名は日本全国に知れ渡っている。京都近海で獲れたマイワシを、熟練の職人が手作業で頭、内臓を取り除いて尻尾をカット。軽く乾燥させて身を引きしめ(うまみも凝縮)、一尾ずつ缶に詰めていくのだが、その詰め方に注目していただきたい。缶の短辺(写真でいうと上下部分)に収まるイワシは、ほかの部分に収まるイワシよりもサイズが小さいのが分かるだろうか。缶の四隅が丸みを帯びているため、あえて全長の短いイワシを両端に詰めているのだ。

 なんというこだわりようだ、竹中さんよ!

 また、中央部分のイワシの間には、正方形にカットされた月桂樹の葉が収まっている。この全体の佇まいは、まるで京都の美しい寺社のようだ。

■缶のオイルを使って焼く

ごはんを炊いたあとのメスティンのフタをフライパン代わりに

 いよいよ調理開始! 丼料理なので、まずはごはんを炊かねばならぬ。今回はメスティンを使って1合のごはんを炊き、しっかりと蒸らしておいた。

 それからメスティンのフタをフライパン代わりにして、イワシの身と缶に入っているオイル適量を使ってバーナーで炒める。オイルがふつふつして、イワシのいい匂いが立ったらしょう油を垂らして火を止める。この作業をキングオスカー、竹中罐詰の両方で行った。

 この時点で両者の違いがはっきりと出た。キングオスカーはイワシを燻製しているので、温めるとその香りがより際立つのだ。それに対して竹中罐詰のほうは燻製していないから、イワシが熱せられた素朴な匂いがした。