広大な湿原が広がる尾瀬の景色は、私たちに自然の素晴らしさを感じさせてくれる。その尾瀬の自然を堪能したいと願うハイカーたちが、例年だと 5月下旬~6月上旬の水芭蕉シーズンには尾瀬ヶ原にどっと押し寄せる。土日はもちろん、平日も 尾瀬ヶ原の木道では渋滞が発生するほどである。水芭蕉の大群落は、混んでいる中でも見たくなる絶景の一つなのだ。
尾瀬の自然を守り続けるために、そしてみんなが気持ちよく過ごせるように、「尾瀬のマナー」を考えてみたい。
■尾瀬の木道の歩き方
尾瀬には木道が設置されている。木道が整備されているのは、ハイカーが歩きやすいようにという目的もあるが、それ以上に尾瀬の湿原を守るためだ。尾瀬ヶ原の湿原は、6000年以上の長い年月をかけて現在の姿になった。人間が湿原を自由に歩き回ると、踏みつけられた箇所が回復するまでに膨大な年月を要するのだ。「決められた木道を歩く」という大原則を絶対に守ろう。
木道は2本平行に設置されており、尾瀬では右側通行がルールである。同行者と2人で並んで歩いてはいけない。前を歩いている人たちを追い抜きたいときは左側を利用し、追い越したらまた右側を歩こう。
とはいえ、渋滞している場合は左側も対面に歩くハイカーが通行している。自分のペースで歩けないのはやむを得ない。例えば富士山の大渋滞でもゆっくりペースでついていくしかないのと同様だ。追い抜きたいからといって木道を外れるのは厳禁だ。
■尾瀬での写真撮影
素晴らしい景色が広がる尾瀬では、撮影ポイントが連続する。写真撮影をするときも、木道から外れてはいけない。三脚を湿原に立てるのも禁止されている。
写真を撮りたいポイントはたくさんあるのだが、渋滞の時は撮影が難しい。一方向だけの渋滞であれば、撮影したいときは左側の木道に移動して、他のハイカーの迷惑にならないようにシャッターを押すことができる。
けれども、両方向渋滞しているときは立ち止まって撮影するのは正直難しい。1人が立ち止まると、後ろの人たちは追い抜くこともできず、待っているしかないのだ。こんなときは、ところどころにある休憩スペースで撮影しよう。