福島県、新潟県、群馬県の3県にまたがり、2000m級の山々に囲まれた尾瀬。日本有数の高層湿原が広がる名所として有名な観光地だ。西側の尾瀬ヶ原にはのびやかな湿原に池塘が点在し、なだらかな至仏山が横たわる。東側には大きな尾瀬沼が水をたたえ、至仏山と対峙するように東北地方で最高峰の燧ヶ岳が鎮座する。魅力のあるこの2エリアをそれぞれ日帰りで訪れてもいいが、泊まって両方めぐれば尾瀬をすみずみまで味わい尽くせる。尾瀬を西から東に横断する王道ルートの一例として、1泊2日のテント泊の旅を紹介しよう。
■【1日目】大清水から尾瀬沼に登る
1日目は群馬県側の大清水から入山し、三平峠を登って尾瀬沼を目指す。大清水から次のポイントの一ノ瀬までは歩いて1時間。初夏から秋はここまで乗り合いバスやタクシーが運行しているので、これを利用すると時間短縮できる。一ノ瀬から三平峠までの道のりは、「十二曲がり」という登りがあり、ジグザグの登山路をひたすら進みながらどんどん標高を上げていく。
■尾瀬沼東岸のキャンプ場に幕営
登りきると尾瀬沼の南岸に着き、沼沿いに東に進むと目的地の尾瀬沼キャンプ場が見えてくる。テント装備は荷物が多くて重いが、尾瀬沼まで登ってしまえばあとの行程はほとんどアップダウンが少ない道。とくに初日は行程が短く、大清水からすべて徒歩でも2時間30分ちょっとの距離だ。日が暮れるまで時間もたっぷりとあるから、尾瀬沼の散策を楽しめる。キャンプ場近くの湖畔は沼越しに燧ヶ岳を望めるビューポイントだ。
■幕営したら有意義な時間を
テントを設営したら腰を据えてゆっくりランチを楽しみたい。時間にゆとりがあるから、身軽な状態で尾瀬沼を散策したり、このあたりの湿原で一番大きな大江湿原まで足を延ばしたりと、有意義に過ごせる。尾瀬には20軒の山小屋とキャンプ指定地が3カ所あり、山小屋は風呂を備えていることが多い。小屋に泊まって優雅に過ごすというのももちろんアリだ。