■ヒートテックで大失敗!  乾きにくいレーヨン、綿の衣類は避けよう

 登山をはじめた頃はギアにあまりお金をかけたくなく、普段使っているヒートテックで秋の雲取山へ出掛けてしまった。

 登山開始1時間ほどでヒートテックが発熱し、体が温まり、汗をかき始めた。登るごとに汗の量も増え、気づいたらヒートテックはびしょ濡れの状態に。その時点で失敗に気づいたのだ。寒がりだった筆者は極暖タイプの46%レーヨン、30%アクリル、19%ポリエステル、5%ポリウレタンのヒートテックを着用。この混合率の高いレーヨンが大きな原因となった。

 レーヨンと呼ばれる化学繊維は吸水性が高い繊維で、一度濡れると乾きにくいのが特徴だ。保温性には優れているが、大量に汗をかく状況下では体を温めるどころか、体を冷やしてしまうのだ。タオルで体を拭くなどしてみたが、乾くことはなく、寒い思いをしながら登山を終える羽目になった。一歩間違えたら汗冷えで低体温症などの危険もあるので注意が必要だ。

 今回の失敗で秋冬の登山はインナーの素材がとても重要であることを学んだ。レーヨンや綿の乾きにくい素材は避けて、メリノウールなどの吸湿性と保温性のある素材のインナーを着用し、登山をするのがおすすめだ。(最近では吸水速乾機能を取り入れたヒートテックも販売されているので、混合素材をしっかりチェックするのが大事だ。)

■自分のレベルに合った山に登る

憧れの槍ヶ岳に登れたが、体力限界で辛い思い出となった

 自分の体力もレベルも知らない登山初心者だった頃の筆者が初のテント泊登山に選んだ山が1泊2日の槍ヶ岳だった。今思うと無謀な挑戦だとわかるが、当時は無知で、ただ「憧れの山に登りたい」という気持ちだけで登っていた。

 最もポピュラーな上高地からの槍沢ルートを選んだが、それでも登山初心者にはきつい往復約41kmのロングトレイルだ。案の定、テント泊用の重いザックを抱えて、体力限界に近い状態でなんとか山頂に辿り着き、初の3,000mに近い標高の中でのテント泊を体験した。9月上旬で標高が高い事もあり、夜は2℃台まで気温は下がり、慣れない寝袋の中で寒さに震えながら眠れない夜を明かした。

 次の日は早朝から下山を開始したが、下山だけでも約8時間のコース。前日の登りの疲れに、重い荷物と寝不足が重なり体力もほとんどなく、一歩前に進むのも辛い状態だった。

 さらに、帰りのバスに間に合うために必死に歩くはめになり、全体的に苦い思い出での初テント泊登山となってしまった。

 この失敗で学んだのは、自分の体力、レベルをしっかり把握し、初めのうちは無理のない山に登ることだ。また、山でのテント泊は装備でザックは重くなり、想像以上に体力を消耗するので、まずは短い距離にテント場がある山で少しずつ慣らしていくのが大事だ。