■書かれていた3つのラッキーアイテム
戸惑いながら裏を見ると、なんとも愛らしいおばあさんのイラストの下に、「ラッキーなもん」として、かつおのたたき、地下街、CDの3つが書かれていた。
CD……。浮世小路のレトロなムードにタイムスリップしたような気分になっていたが、ふと現代に戻った。
しかし思い当たる節は多い。確かに最近、私は余裕がなかった。自分だけがしんどいと思っていたかもしれない。一寸法師大明神は、私がここを訪れた瞬間、眉間のシワを見抜いていたのだろうか。
私はおみくじをそっとカバンに入れた。そして帰路、「通天閣に寄って写真を撮り、なんばCITY(地下街)でかつおのたたきを肴にビールを飲む」というラッキーコースを実行することにした。家に着いたらお気に入りのシブがき隊ベストCDを聴こう……。
ちなみに「一寸法師」の物語は、原典「御伽草子」ではかなり恐ろしいストーリーとなっている。一寸法師が全然大きくならないことを老夫婦から気味悪がり、それに腹を立てて一寸法師は家を出るのだ。夢見る旅立ちではなく「家出」である。京に上ったあとも、お姫さまを我がものにすべく、三条の大臣を騙すなど、なかなかの暗黒っぷりだ。
おとぎ話はどの国でもオモテとウラがある。大人向けの怖い内容も知りながら、大阪の住吉大社から道頓堀まで「一寸法師伝説巡り」をしてみると、より楽しいかもしれない。