コロナ前の戎橋から見た景色。グリコの存在感よ!(2019年撮影)

 道頓堀――。グリコの看板をはじめ、きらびやかなネオンや大きな看板がひしめき輝く、「OSAKA」を象徴する場所である。

 今回向かうのは、この場所から約3分の距離にある、ある意外な伝説の人物が祀られた神社だ。

 ヒントを歌ってみよう。

♪お椀のふーねにはーしの櫂
京へはるばるのーぼりゆく♪

 そう。一寸法師である。

一寸法師、板本『御伽草子』 書林 大阪心斎橋順町 渋川清右衛門 版より

 実は一寸法師はバリバリの関西人。出身は津の国難波(なにわ)の里だ。老夫婦(老といってもお婆さんは40歳!)が、子どもを授かるようお参りしたのが住吉大社。そして一寸法師が生まれ、彼は12,3才くらいで立身出世のため、京に向かうのである。

 そのコースは「住吉の浦から出発し、大阪湾経由で淀川を上った」説が有力だが、道頓堀の近く、現在の三津寺周辺から旅立った説もあるそう。

打ち出の小槌、カラーイラスト、和歌リスペクト。バラエティ豊かな「すみよっさん」【関西おみくじジャーニーvol.03「住吉大社」】

 ということで、「ひっかけ橋」の異名を持つナンパポイント「戎橋」から「かに道楽」の角を曲がり、道頓堀商店街を歩いていく。

道頓堀商店街の角にある「かに道楽」。2022年で還暦だそうだ。「で~す」に浮かれ具合が出ていて微笑ましい

 かに道楽からしばらくまっすぐ歩くと、浮世小路がある。そのなかに「一寸法師大明神」があり、「一寸法師招福みくじ」が100円で引くことができる。これが今回のお目当てだ。風のウワサでは、非常に良く当たるらしい。

 ただしウッカリしたら見逃してしまう。 というのも、小さな小さな一寸法師を祀っているだけあり、神社もものすごく小さいのだ!

 まずはうどんの老舗「今井本店」を目指す。おみくじや一寸法師に興味が無い方も、今井のうどんは絶対に食するべきだ。とにかくおいしいから!

 今井が見つかればもう大丈夫。カラオケ店との間に細い細い「浮世小路」という薄暗い路地に入り、「うぉっ」と声が出るほどのタイムスリップ感をまず味わおう。

向かって右がうどんの今井。左がカラオケ。このほっそいほっそい路地が浮世小路。見逃すな!
両脇の壁にびっしりと、大正から昭和初期にかけての道頓堀の町並みを描いた絵地図や、上方落語・吉本芸人など大阪の芸能の展示が
まるで路地全体が「飛び出す絵本」のようだ!