■モンブラン山頂を間近に見られる「スカイウェイ」体験
雨のシャモニーの翌日は、一転して快晴。こんな上天気の日に絶対に見逃せないアクティビティがここにはある。クールマイユールとシャモニーを山を越えて結ぶ『Skyway(スカイウェイ)』だ。
2015年6月にオープンしたこの高速ロープウェイは、標高1,300mのクールマイユール駅から2,200mのモンフレティ駅を経由し、モンブラン山頂を間近に見られる標高3,466mのエルブロンネル展望台まで一気に連れて行ってくれる。さすがにモンブランに歩いて登るのは無理だが、これなら私でも山頂を拝めると、喜び勇んで切符を買った。
朝8時半の運転開始直後に行ったのでほとんど並ばずに乗れた。動き出すと一気に上昇を始め、周囲の氷河や谷間の風景に見とれているうち、あっという間に乗り継ぎ駅のモンフレティに到着。ここには展望カフェテリアやおみやげ屋さん、さらには高山植物を集めた植物園もある。1,000mの標高差を一気に登ったので、体を慣らすためにしばし休憩。お年寄りや血圧が不安定な人は、最低でも30分ほどの休憩をとって体を慣らしておかないと、展望台で高山病になる危険があるというから注意が必要だ。
最終地点の展望台まで、アルプスの大パノラマを楽しみながら登って来ると、眼下は一面の雪景色。8月上旬とはいえ、ここの標高は3,466m。展望台の気温計は−7℃を指していた。寒さでかじかむ手をこすりつつカメラを片手にオープンデッキへ出て、思わず「うわーっ、すごい! きれい!!」と叫んだ。
ヨーロッパアルプスの女王、4,810mのモンブラン山頂が目の前に神々しくそびえている。真っ白な雪をいただく雄大な姿は、どれほど眺めていても見飽きない。うっとりとその美しさに見とれていた私だが、10分もすると背筋がゾクゾクして来た。やはり氷点下に軽装では長時間は耐えられない。
少しだけ屋内で暖をとった後、今度は反対側の展望デッキに出て息を呑んだ。快晴に恵まれた幸運に心から感謝! そこに広がっていたのは、荘厳なアルプス山脈を180度見晴らせる圧巻の大パノラマだった。左手前方に見えるのは、鋭利な山頂が雄々しいマッターホルン。その右隣には、夕陽でバラ色に染まることからその名がついたスイスの最高峰モンテ・ローザ。ぐるっと山脈を目で追って行くとグラン・パラディーゾの姿も見える。凍える寒さもしばし忘れ、空の上からしか望めないだろう絶景を目と心に焼き付けた。
(次回、いよいよモンブラン・トレイルのコースを歩きます。お楽しみに!)